実践編
第14回最終回
生成AIは、従来のAIと比べ、日本語の精度や情報の正確性が格段に進化しています。コンタクトセンターでも生成AIは、使うか使わないかではなく、使うことを前提にSVも仕事のやり方を考えていく時代に来ているのです。生成AIはどのような特徴を持ち、何ができるのか──。今回は、SVが知っておくべき、生成AIの基礎について解説します。
AIブームは、これまで4回くらいコンタクトセンターにも来ており、前回の2015年頃のブームでは、Watson(ワトソン)などの自動応答システムや意思決定支援システムをメガバンクはじめ多くのセンターが導入し、運営してきました。
これまでのAIは、お客様からの質問の回答候補をオペレータのPC画面上に複数出すやり方で顧客対応業務を支援するなど、限定的な使い方をしてきましたが、今回の生成AIにより、本当にコンタクトセンターの業務を根本から変える状況となっています。それほど、生成AIは頭も良く、日本語の精度も非常に高いからです。
ここで問題です。先ほどから生成AI、生成AIと言っていますが、それはどのような意味でしょうか。
生成AIとは、簡単にいうと、さまざまなコンテンツが作成できる技術のことをいいます。では、従来のAIとは何が違うのでしょうか。
従来のAIは、タンクに学習データをどんどんと放り込んで、情報を整理して記憶し、適切な答えを予測して、既存のコンテンツとして出力していました。一方、生成AIもタンクに学習データをどんどん放り込んで、情報を整理して記憶するのは同じですが、情報を取り出す時、新しい答えを出力してくるところが違うのです。
生成AIは、名の通り、コンテンツを生成できるのですが、それは4つあり、テキスト作成、画像作成、音声作成、動画作成です。
テキスト作成は、皆さんも一度は使ったことがあるのではないでしょうか。指示文(プロンプト)を入力し、質問したら、生成AIがテキストで答えてくるというものです。「○○してください」と指示すれば、「もちろんです」と流暢な日本語で返ってきます。
生成AIは、画像も作成できます。写真やイラストなども指示して作れます。これまでgoogleなどで画像検索をして、著作権フリーのものを探していたかと思いますが、もうそんなことしなくてもよいのです。しかも、作成したものについては、著作権は、指示して取り出した人に帰属します。
また、音声なども作成できます。簡単にいうと、音楽なども自由に作曲できます。それだけではありません。動画も作成できます。つまり、これまで専門家やエンジニアにお願いしないといけなかったことが、システム関係に素人の人でも容易に作成可能になったのです。
そして、生成AIの中でもとくに有名なのが「ChatGPT」です。これは、OpenAIという米国の企業が2022年にリリースしたシステムになります。GPTとは、Generative Pre-trained Transformerという英語の頭文字をとっているのですが、意味としては、普通の話し言葉でAIとやり取りできるというものになります。ただ、生成AIも注意点がいくつかあります。

1.情報漏洩のリスク
顧客の個人情報や企業の機密情報などを間違って読み込ませてしまうと学習されてしまい、他者に情報漏洩してしまう可能性が出てきます。ChatGPTでいえば、Open AIという業務委託会社に情報を預けるイメージを持ってもらえればと思います。ですので、顧客の個人情報や機密情報にマスキング、つまり隠して読み込ませたり、社内だけで使える生成AIにして、個人情報を読み込ませてもいいようにするなど、各コンタクトセンターで工夫しています。
2.間違った情報のリスク
いくら頭が良いといっても、正しさという部分では、100%ではありません。ですので、まったく知識がないものを生成AIで調べるのは危険です。本当にその情報が正しいかは、知識がないと判断できないからです。私は、つい最近、ある情報を生成AIで調べて資料を作成してお客様に提出したことがあるのですが、後で調べたら、生成AIが答えた内容には誤りがあり、冷や汗をかいたことがあります。
3.著作権を侵すリスク
生成AIを使って生成したコンテンツの著作権は、作った人に帰属するのですが、著作権違反に問われる場合もあります。最近でも、ゴジラの白黒版の映画を生成AIに読み込ませて、カラー映画にして出力し販売した事件がありましたが、やった本人は著作権法違反で逮捕されています。
以上3つのリスクを踏まえながらも、センターでは生成AIを使って運用をしていく必要があります。生成AIは、使う・使わないではなく、使うことを前提にコンタクトセンターは業務の組み立てを考えていく必要があるのです。
既に社内では利用し始めたセンターも結構出てきました。メールの回答文の作成や、後処理で行う顧客対応履歴の要約、FAQ作成、モニタリング、会議の議事録作成など、さまざまな場面で十分に使えると思います。
モニタリングでは、これまでモニタリング担当が何本かサンプルを抽出して、品質チェックをしていましたが、生成AIでの全件チェックも可能になりました。チェック後の分析、報告書の作成まで生成AIでできてしまいます。生成AIをうまく使いつつ、業務効率を高められるといいですね。
今回で、本連載は最終回となります。1年以上にわたり、お読みいただき、ありがとうございました。
2025年08月20日 00時00分 公開
2025年08月20日 00時00分 更新
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