コールセンター
InterMedia 代表 野原裕美
コールセンターに限らず、業務改善に際し「先行事例を読み解く」ことに活路を見出す傾向は強い。しかし、それを実現するには、マネジメントに客観的に課題を捉える「視点」が求められる。今回から2回にわたって、数々のコンサルティング実績をベースに、本誌の掲載事例を分析。「先行事例の読み解き方」を解説する。
コールセンターに限らず、業務改善に際し「先行事例を読み解く」ことに活路を見出す傾向は強い。しかし、それを実現するには、マネジメントにとって、客観的に課題を捉える「視点」が求められる。その視点(見えるルール/見えないルール/能力・マインド)の持ち方を、「月刊コールセンタージャパン」に掲載した事例情報をもとに、気鋭のコンサルタントが2回に分けて解説する。
組織を動かす明示的な要素。企業の事業戦略や組織構造、人事制度、業務プロセスといった、公に決められて運用されているもの。例えば、コールセンターはどのような体制で運営し、各拠点に何人の人材を配置するのか。オペレータの人員計画を満たすための採用はどのような方法でいつ誰が行うのか。着台までにどのような育成をして、SVはオペレータをどのようにサポートするのかなど、コールセンターを運営するために決められていることが、見えるルールだ。
組織を動かす暗黙的な要素。企業文化、共通の価値観、組織風土、さらには経営層や管理職の言動など、見える化は難しいが、組織の動き方に大きな影響を与える要素。公式の情報として明示されている見えるルールと異なり、見えないルールは空気のようなものだ。日々それに触れている“中の人”にとっては、当たり前のことであり、存在することすら意識していない場合もある。
関係者の能力や意識。従業員1人ひとりの知識、スキル、そして仕事に対する意識やマインドを指す。見えるルールや見えないルールを会社側が整備したところで、それを実行する能力やマインドが従業員になければ、描いた状態は実現できない。また、能力やマインドは各従業員に属するものであり、会社側が直接的につくり出すことはできない。会社は従業員の能力やマインドを支援する環境を整えることに専念すべきだ。
2025年05月20日 00時00分 公開
2025年05月20日 00時00分 更新