カオスな組織の率い方「心地よい職場のレシピ」 第4回

2025年6月号 <カオスな組織の率い方「心地よい職場のレシピ」>

池田浩一

実践編

第4回

反発・言い訳・嘘・その場しのぎが霧消
「個別面談」を劇的に変える事前準備

オペレータとの個別面談は、日頃の業務姿勢や電話応対について指導する重要な機会です。しかし、相手によってはすんなり聞き入れてもらえなかったり、反対に思わぬ文句や愚痴を言われてしまうなど、苦労されているマネージャー・SVの話をよく聞きます。そこで、今回は、こちらの話を心から受け止めてもらい、オペレータに良い変化を生み出すことができる面談の方法を解説します。

PROFILE
ブランニューデイ 代表取締役
池田浩一
コールセンター専門のコンサルタントとして、300社以上のセンターの立ち上げや業務改善を支援。コールセンター従事者のためのeラーニングサービス「BIZTEL shouin」、無料ビジネススクール「BIZTEL大学」の講師としても活躍する。

 個別面談について悩んでいるマネージャーやSVはとても多く、よく相談を受けます。

 面談の主な目的は、①業績評価の報告、②通話モニタリングのフィードバック、③ストレスについてのヒアリング、④愚痴や不満を聞くこと──の4つです。

 中でも、①②については、オペレータからさまざまな反応が返ってきます。コールセンターのKPIやパフォーマンス、苦情の発生などに直結する部分なので、面談する側は改善点をしっかりと伝えなくてはいけませんが、人によっては反発してきたり、言い訳や嘘で責任逃れしたりと、素直に聞いてもらえないことが多々あります。

 返事はいいけれど言ったことをやってくれない、というケースもよく見られますね。また、指摘したら泣かれてしまって対応に困ったり、年の離れたオペレータへの伝え方に悩むこともあると思います。

 このように個別面談ではさまざまなことが起こりますが、オペレータを成長に導き、一層活躍してもらうにはどうしたらいいのでしょうか。延べ数千人を面談してきた経験から、具体的な方法を紹介したいと思います。

良い面談をするための事前準備
4つのポイント

 面談をうまく進めるには、日頃からの事前準備が欠かせません。ポイントは次の4つです。

1.キャラクター分析をする:他人の言動に対する反応の仕方や、心地よいと感じるコミュニケーションは、その人の性格によって異なりますが、ある程度のタイプ別に分類できます。エゴグラムなど無料でできる性格診断サイトがありますので、みんなで楽しく診断する機会を作りましょう。一人ひとりのキャラクターが把握できると、相手に合った伝え方ができ、対話しやすくなります。

2.強みと弱みを把握する:面談の際に、得意な部分は褒めてさらに伸ばし、苦手な分野は改善を後押しできるよう事前に整理します。

3.普段から挨拶し、コミュニケーションをとる:朝の挨拶や世間話などを通じて、打ち解けた関係を日頃から作れると、面談でも改善点を伝えやすくなります。共通の話題を持ったり、相手の趣味を把握しておくのもよいでしょう。

4.業績評価は事前に共有する:応対件数・AHTといった成果に関するデータや通話モニタリングの評価内容などはあらかじめ共有し、面談ではどう改善するかなどの前向きな話ができるようにします。

 「BIZTEL shouin」などのコールセンター向けeラーニングシステムでは、通話録音ファイルとモニタリングのスコア、改善アドバイスを1画面で共有し、オペレータへのフィードバックが効率的に行える機能が使えます。こうした便利なツールの活用も、面談の準備が楽になるのでおすすめです。

図 「個別面談」の事前準備と心構え
図 「個別面談」の事前準備と心構え

やる気と能力を引き出す
2つの心構えとは

 続いて、面談中の心構えについてお話しします。

 1つ目は「相手に壁を作らない」ことです。こちらが心を開かなければ、相手も心を開いてくれません。面談の上手い人はこの点に優れていて、相手が緊張したり、ガードを張ったりすることもなく、リラックスさせることができます。

 では、具体的にどうすればよいのか。コツはズバリ「面談中、相手が関心のある話をじっくり聞く」ことです。推し活・音楽・演劇・古着……などなど、業務と関係ないことでも構いません。自分に知識がない分野の話であれば、新しい世界について学ぶ良い機会と捉えます。「●●さんの推し活の話を聞きたいから、仕事の話は先にささっと終えましょう」と伝え、15分くらい業務改善の指導をして、残りの時間は相手の話を楽しく聴き、質問も交えて盛り上げます。

 こうした時間を作るためにも、あらかじめ業績評価やデータを共有しておくことが大事です。面談をする上司が自分の好きな話をじっくり聞いて一緒に楽しんでくれたら、それだけで心を許すことができ、指導されたことを素直に直したいと思えます。実際にこの方法で数値が改善し、苦情やミスが減った人がたくさんいますので、ぜひ試してみてください。

 2つ目の心構えは「ポジティブに褒め続ける」です。その人の長所や前回の面談から改善できたことなど、ひたすら具体的に褒めます。改善が必要な点にふれる場合も応援する立場を崩さず、「大丈夫だよ」「●●さんなら絶対できるよ」と言い切ります。この時、心から相手を信じることが最も大切です。

 私はコンサルティング先でこの褒める面談を続けていますが、結果が出なかったことは一度もありません。強みを褒められ、あなたならできると言われ続けると、人は考え方が変わり、行動が変わります。あまり活躍できていなかったオペレータが、別人のように変わる。そんな奇跡のような光景を何度も目撃しました。何を隠そう、私自身も30年ほど前、面談で「あなたならできる」と言われ、その期待を裏切りたくない一心で頑張ってきた一人です。そして今も、この仕事をしています。

 個別面談はオペレータのやる気と能力を引き出す絶好の場です。そして、このチャンスを生かすには面談者自身も成長し、変わる必要があります。苦手に感じている方も、ぜひ今回の内容を参考に頑張ってみてください。あなたなら、必ずできますよ。

2025年05月20日 00時00分 公開

2025年05月20日 00時00分 更新

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