実践編
第5回
「新人が思ったように動いてくれない」「親世代の部下に指導をしたものの、すんなり聞き入れてもらえない」……。幅広い世代が集まるコールセンターでは、歳が離れた同僚や部下との接し方に悩む声がよく聞かれます。今回は、そうした世代間ギャップを乗り越え、ストレスなくコミュニケーションを行い、互いに高いパフォーマンスを発揮するための方法について考えていきます。
歳の離れた世代との接し方や感覚の違いに関する話は、相談されないことがないというくらい、どこのコールセンターへ行っても相談されます。つい先日も「今の若い子たちは、マニュアルにない仕事をお願いすると拒否反応を示す」といった悩みを聞いてきたばかりです。コールセンターは幅広い年代が集まって仕事をするので、さまざまな主義・主張を持つ人の中で苦慮されることもあるでしょう。
ただ、注意が必要だと感じるのは、自分と考え方が違うからといって、他の世代に対し「困った人たち」「苦手な人たち」というバイアスをかけてしまうことです。この人はZ世代だから、バブル世代だから……といって、相手のことをもっと知ろうとせずに壁を作り、円滑なコミュニケーションができなくなっているケースがよく見受けられます。
世代間ギャップから生じる悩みの正体を突き詰めると、多くの場合は「自分にできることができなかったり、考え方が異なっている人をダメだと捉え、許容できなくなっている」という、悩んでいる本人の受け止め方に行きつきます。
では、どうすれば世代間ギャップの悩みを解消できるのか。世代の異なる人と向き合うときの心構えについて紹介していきます。
まず大前提として理解しておかなければいけないのは、相手の価値観や考え方、得意なこと・苦手なことは、自分と違っていて当たり前ということです。例えば、「○○世代はこんなこともできない」と腹を立てたとしても、それでは自分の価値観やエゴを押しつけているだけであって、なんの解決にもつながりません。相手の立場になって、なぜできないのか、どうしたらできるようになるかを一緒に考える必要があります。
この前提を押さえたうえで内観(自分の心の働きを観察)すると、苦手に感じる世代に対して一方的に「この人はダメだ」とバイアスをかけてしまっていることに気づけると思います。もし自分と相手の違いを受け入れられていない点があれば、あなた自身の視野やキャパシティが狭くなっている可能性があります。
相手を受け入れなければ、相手もこちらの言うことを心から受け入れることはありません。人を変えるには、まず自分からです。教育のシーンであれば、指導する側が相手を受け入れるような形で思考やアプローチを変えられれば、状況や結果も必ず変化するはずです。
さて、他の世代に対するバイアスや先入観を取り除いたり、相手に良い変化をもたらすにあたって、もうひとつ重要なことがあります。それは、相手が大事していることに共感することです。
以前、コンサルティング先のコールセンターで、電話応対に課題のあるオペレータの指導を頼まれたことがありました。面談してみると、ロン毛でファッションも独特、アニメとゲームが好きという、いわゆる“Z世代”らしい個性的なスタイルを持つ若者でした。いろいろと話してみると、本が好きで小説をよく読むとのこと。そこで、三島由紀夫の『金閣寺』の話をしたところ、すごく打ち解けて心を開いてくれるようになりました。たったそれだけのことですが、その面談以降、意欲的に取り組むようになったと上司の方から報告が届きました。
人は心が通じたり、他人から認められたりすると、意識ががらりと変わりパフォーマンスが上がることがよくあります。「○○世代」という枠にとらわれず、一人ひとりの本質をしっかりと“観る”ことができれば、世代間ギャップによる悩みも自然と感じなくなるでしょう。

スキル面での世代間ギャップの解消についても触れたいと思います。
若い世代と年配の世代では育ってきた環境が異なるため、どうしても得意・不得意の分野があります。例えば、デジタルネイティブである若い世代は、システムへの理解や対応力が優れている場合が多いです。しかし、固定電話のない家庭が増えたことから電話応対自体に不慣れな人が多く、語彙が少なかったり、クッション言葉も使えない傾向にあります。反対に年配の世代は電話応対の基礎に長けているものの、新しいシステムの操作に手間取るシーンが見られます。
こうしたスキルのギャップには画一的な研修をするのではなく、「BIZTEL shouin」などのコールセンターに特化したeラーニングシステムを活用して、一人ひとりの不得意分野をカバーできる体制を作ることが効果的です。例えば、若い世代用に正しい敬語やクッション言葉などの講座を組み合わせた研修コースを作成したり、システムが苦手な人向けに操作方法の解説動画を用意したりと、現場に合わせた柔軟な教育プログラムが簡単に構築できます。
世代間の違いを受け入れ、個性を生かすための支援ができれば、センターに多様な強みをもたらすことができます。世代間ギャップを力に変えるコールセンター運営をぜひ目指してみてください。
2025年06月20日 00時00分 公開
2025年06月20日 00時00分 更新