スーパーバイザーの教科書・Essential 第11回

2025年6月号 <スーパーバイザーの教科書・Essential>

寺下 薫

実践編

第11回

4つのステップで課題をクリア
「SVの問題解決スキル」

コンタクトセンターの現場では、日々問題が発生しています。それにもかかわらず、SVに問題解決スキルがないために、解決まで時間がかかったり、場合によっては失敗したりしています。今回は、SVにとって問題解決スキルがいかに重要で、どのように習得していけばよいのかについて解説します。ポイントは、関心を持つ、問題の特定、原因の特定、解決策の特定・実行──の4つのステップです。

PROFILE
クリエイトキャリア 代表取締役社長
寺下 薫
外資系企業を経て、ヤフーやソフトバンクで長年、人材育成に携わる。問題解決養成塾「SV研究会」を立ち上げ、若手のSVを育成。現在は独立して、コンサルティングや研修、講演、執筆などを中心に活動中。2024年6月に「スーパーバイザーの教科書」を出版。

 これまで、あなたは、小学校、中学校、高校、大学、人によっては大学院や専門学校など、何かしらの学校は出られたと思います。そして、学校では、英語や数学、歴史、国語などたくさんの教科を学んでこられたでしょう。しかし、思い返していただきたいのですが、学校で問題解決の授業はないのです。にもかかわらず、コンタクトセンターでは、ほぼ毎日のように問題に直面することになります。

 オペレータが誤案内をした、顧客からのクレームが多発している、必要な座席数を充足できていない、目標が達成できないなど、問題はセンターで日々起こります。しかし、SVは問題解決の正しい手法を学ぶ機会はありません。また、センター長や先輩SVが教えてくれることも、ほとんどありません。私も実際そうでした。ですので、いろいろと失敗しましたし、かなり遠回りしたのも事実です。

まだ間に合う問題解決スキル習得

 あなたは、ピョートル・フェリクス・グジバチさんをご存知でしょうか。ピョートルさんは、以前、googleの人材開発の責任者だった方です。ビジネス書も数冊出されています。以前、ピョートルさんとリーダーシップやマネジメントについて議論したことがあります。

 私は、ピョートルさんにこんな質問をぶつけたことがあります。「googleでマネージャーにとって必要なスキルを1つだけ挙げるとすると何ですか?」。すると、ピョートルさんはこう言いました。「ズバリ、問題解決スキルです」。これは私も同感です。ですので、私は2013年からSV研究会という問題解決養成塾を立ち上げ、ヤフーだけでなく、広く門戸を広げて、若手のSVを育成することにしたのです。今では、卒業生が240名以上いますが、皆さん、マネージャーになったり、センター長になったりしています。問題解決スキルを身につけた当然の結果だからです。

 では、SVが問題解決スキルを身につけるにはどうすればよいでしょうか。実は、4つのステップを踏めば誰でもマスターすることができます()。ちなみに、「問題解決スキルは、頭の良し悪しが関係ありますか?」とか、「生まれつきのスキルですか?」と聞かれることがあるのですが、どちらも違います。誰でも、今からでも十分に身につけることが可能です。

図 問題解決の4つのステップ
図 問題解決の4つのステップ

関心を持つことが最初のステップ

 ステップ1は、関心を持つことです。さて、ここで問題です。旧1万円札の表に書かれていたのは福沢諭吉ですが、裏に描いてある絵は何でしょうか? 鳥だったでしょうか。建物だったでしょうか。それとも花でしたでしょうか。正解は、平等院鳳凰堂にある鳳凰像が描かれています。お金なんて、ほぼ毎日のように見ていますし、触ってもいます。しかし、いざ聞かれると答えられません。それは、関心がないからです。関心を持たないと問題は発見できないのです。関心を持っていれば、問題は少しずつ見えてきます。まずは、よく観察することです。

 ステップ2は、問題の特定です。まず、問題を洗い出します。問題を洗い出していくと分かると思いますが、問題は1個とは限りません。複数の問題が同時多発的に発生していることは、現場でよくあることです。そんな時は、重要度と効果度で着手すべき問題の優先順位を決めていきます。重要度は、センター長になったつもりで重要かどうか判断すればいいですし、効果度はどれだけセンター業務に影響があるかで判断すればいいです。

 続いて、ステップ3が原因の特定です。これが一番大事です。問題が発生した時、問題を引き起こす原因が必ずあります。そして、原因に応じて講じるべき解決策は異なります。しかし、ほとんどのSVは、問題に直面した時、原因なんて考えず、解決策を考えてしまいます。こうすれば解決できるはず、そう考えてしまうのです。この思考の過程を変えるのは、簡単ではありません。訓練が必要です。頭で分かっていても、いざ問題にぶつかると、すぐ解決策に飛びついてしまうからです。問題が発生したら、まずは立ち止まって原因を考えてみることです。

 最後にステップの4つ目が解決策の特定です。解決策を出すときに1つ注意すべきことがあります。人は、解決策を考える時、ヒト、モノ、カネ、リスクに制限がかかった解決策を考えてしまいます。こんなこと無理だろうなと、ついつい思ってしまうからです。そうして出てきたアイデアを実行する段階になると、「あっ、それ前にやってうまくいかなかったよね」という案になっているケースがほとんどなのです。ですので、解決策は、ヒト、モノ、カネ、リスクなどすべて取り払った状態、つまり、ゼロベースで考えることです。そして、たくさんアイデアが出てきたら、今度は優先順位付けです。解決策の場合は、実現可能性と効果の大小で比較するとよいでしょう。

 以上4つのステップでした。この4つのステップをマスターし、問題に実際に直面した時にこの4つのステップ通りに自然と考えられるようになるまで、何度も訓練することです。問題解決スキルは、ビジネス基礎スキルの中でもSVが絶対に身につけておいたほうが良いでスキルです。是非、頑張って身につけてくださいね。

2025年05月20日 00時00分 公開

2025年05月20日 00時00分 更新

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