毎年、コールセンタージャパン編集部が実施している「コールセンター実態調査」。今年も200社超のセンターからの回答を集計、その結果は「コールセンター白書2024」に掲載する。本特集では、その一部を抜粋し、センター運営の現状と課題を検証する。
Part.1 <基礎データ/ミッション編>
急速に進行する「オペレータの正社員化」、深刻化する「SVの人材不足」、ミッションとKPIの「ズレの顕在化」、過半数に達した「チャットボットの採用」──今年のコールセンター実態調査からは、現場マネジメントのさまざまな変化と、深刻化する課題が浮き彫りになった。200社超の回答から垣間見える国内コールセンターの現状と課題を検証する。
回答企業の68%は、複数拠点を連携・展開する「マルチサイト型センター」を運営している。このうち約60%は顧客DB統合、拠点間でのルーティング、人材マネジメントの共通化を実施しているが、言い換えれば40%は「拠点間での品質やパフォーマンス、情報連携に課題がある」ということだ。
コロナ禍で増え、かつ現在も一部稼働している在宅センターを含め、マルチサイトのマネジメントの成熟度を高める必要はまだまだありそうだ。
Part.2 <運営編>
コールセンターで不足している人材は、オペレータだけではない。毎年、設問を設けている「運営課題」において、今回最も回答比率が高かったのは「SVの採用・育成」だ。センター運営のカナメであり、近年は正社員化が進んでいるSVをどう確保し、育てるのか。また、オペレータも正社員化が加速、マネジメントにはさらなる変化が求められそうだ。回答結果からあるべき方向性を探る。
「コールセンターの運営課題」という設問に対しては、やはり採用難・人手不足を反映した回答が目立つ。なかでも全項目でトップの回答比率を占めたのが「SVの採用・育成」だ。センター運営のカナメとされ、近年は正社員化も進んでいるSVだが、その確保にはかなり苦心しているようだ。
一方、オペレータについては、「正社員採用」が加速していることがわかった。離職率を聞いた結果でも、有期契約オペレータと正社員オペレータでは雲泥の開きがあり、採用難対策としては有効といえそうだ。
Part.3 <マルチ/オムニチャネル編>
生成AIの登場によって、「コミュニケーションチャネル」「オペレータ支援」のあり方が変化しようとしている。2010年代後半からコロナ禍にかけて普及したチャットボットは、ここにきてさらに導入率が高まっており、Part.3ではその利用状況を中心にまとめる。一方で、生成AIのチャットボットへの活用は、期待値がやや低下傾向にあり、「まずは社内利用」という意向が強そうだ。
電話、メールに加え、第3のチャネルとして存在感を増しているテキストチャット。なかでも、「チャットボット」の導入率は飛躍的に高まり、今回の調査ではついに過半数となった。有人チャットも昨年度調査を大きく上回る導入率で、テキストコミュニケーションの拡大を実証した結果といえる。
消費者の電話離れに加え、企業側も電話対応オペレータの採用が厳しく、時給/月給も電話より抑制できる傾向が強いテキスト対応に重心を移しつつある。この傾向は今後も続きそうだ。
2024年11月20日 00時00分 公開
2024年11月20日 00時00分 更新