全産業共通の経営テーマであるDX推進。その原動力となるデジタル人材育成は、企業規模などを問わず喫緊の課題といえる。資生堂のDX促進を支える資生堂インタラクティブビューティーは今年、設立3年目を迎える。同社のDX本部 デジタル戦略部の小椋一平部長に「資生堂らしさを重視したDX戦略」の概要を聞いた。
──資生堂インタラクティブビューティー(以下、SIB)の現状について聞かせてください。
小椋 SIBは、資生堂グループのデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速化させるためのデジタル戦略子会社として、資生堂と大手コンサルファームのアクセンチュアの共同出資により設立されました。それぞれから計200名を超える人材が集い、キャリア採用も積極的に実施。現在は約260名が在籍しています。設立時を振り返ると、新型コロナウイルスの感染が拡大し、消費行動のデジタル化が著しく進んでいました。
お客様はより能動的に情報を収集し、企業やブランドは常に、「(競合を含めた)何かと比較されている」傾向が強まり、それは今も加速しています。対応するには、ECの強化をはじめ、さまざまなビジネス機会においてデジタル知見を深める必要があります。そのためには、データをフル活用した継続利用を促す仕組みを生み出すべきと考えました。しかし、当時の資生堂はデジタル活用の経験が十分ではありませんでした。DX人材の育成、情報システムの効率化を図るための組織づくりが急務となり、2020年9月ごろから(SIBの)設立を検討しはじめました。
会員限定2024年06月20日 00時00分 公開
2024年06月20日 00時00分 更新