デジタルでのおもてなし術── Web接客とコミュニケーション 第6回

2026年11月号 <デジタルでのおもてなし術── Web接客とコミュニケーション>

榊原隆之

基礎編

第6回

AIによるWeb接客【後編】
──CS担当者の役割はどう変わる
感情に寄り添い顧客の背中を押す存在へ

AIと人間が共働するWeb接客では、単に「AIが一次対応し、難しい相談を人が引き継ぐ」という役割分担だけでは十分ではない。求められるのは、AIをブランドらしい接客ができる存在へと育て、人とともに顧客体験をつくることだ。今回は、AIの“チューナー”、感情の専門家、そして顧客の背中を押す人という3つの観点から、AI時代に求められるCS担当者の新たな役割を考える。

PROFILE
アルビオン 国際ブランド推進室参事
榊原隆之
1991年アルビオン入社。全国の化粧品専門店・百貨店営業を経て、EC事業の立ち上げを推進。自社サイトは4サイトをShopifyで立ち上げ運営。「アナスイコスメティクス」など複数ブランドの国内販売責任者を担い、カスタマーサポートを軸にブランディングを提唱。

 前編では、生成AIと人間の共働が重要だとお話ししました。AIが初期対応やシンプルな質問を担当し、複雑な相談や感情的なケアが必要な場合は人間が引き継ぐといった、AIと人間が役割分担をするということです。

 実際の運用では、「AIから人間への引き継ぎ」を設計する場面がありますが、ここに落とし穴があります。具体的には、「AIが一次対応を担い、難しい案件だけを人が引き継ぐ」といった単純な分業にしがちです。しかし、AIもまた1人のスタッフとして、人と同じ視点でお客様に向き合うことが重要です。

 なぜなら、AIであっても人であっても、ブランドの姿勢や安心感は一貫していなければならないからです。だからこそ、AIには単に正しい回答をさせるだけではなく、そのブランドらしい言葉づかい、提案の温度感、配慮の仕方までも身につけさせる必要があります。

 それが、AIのチューニングです。チューニングを中心に担うのは、エンジニアではなく、現場を知るCS担当者であるべきと私は考えます。お客様がどこで迷い、どんな言葉に安心し前向きになれるのかを、最も深く理解しているのは、日々、お客様と向き合っているCS担当者だからです。

 AIを“仕組み”として整えるのは技術の仕事ですが、AIを“接客できるスタッフ”へと育てるのは、現場の仕事なのです。AI時代のCSとは、AIを仲間として育てながら、顧客体験全体をつくっていく仕事です。

CS担当者の新しい役割

 さらに、AI時代のCS担当者の役割は、「AIでは埋めきれない部分を補うこと」ではありません。むしろ、人間が関わることでAIの価値を高め、顧客体験そのものを設計していくことにあります。その役割は、大きく3つあります。

 1つ目は、生成AIを現場に合わせて育てる“チューナー”です。AIは導入しただけでは思うようには機能しないでしょう。ブランドの価値観や言葉づかい、顧客対応の基準を学ばせながら磨き続ける必要があります。CS担当者は、日々の対話を通じてAIをチューニングし、より実践的な存在へ育てる役割を担います。

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会員限定2026年10月20日 00時00分 公開

2026年10月20日 00時00分 更新

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