フライル

生成AIの進展を背景にVOC活用は新たな段階に入った。コンタクトセンターには、電話、チャット、メールなど、あらゆる顧客接点の応対データや顧客情報が蓄積されるようになった。「そのデータ量は膨大で、多くの企業ではそれらを活用しきれず、ブラックボックス化しています」。こう指摘するのは、フライル 代表取締役CEOの財部優一氏だ。
同社は、この“蓄積されているのに使えない”状態こそ、いま顕在化している最大の課題と見なす。背景にあるのは、定性データ活用の難しさだ。
定性データを活用するには、複数チャネルのデータ集約や表記揺れの補正、ノイズ除去、目的別の情報抽出、さらに類似内容のグルーピングと、煩雑な前工程が連なる。こうした課題はVOC分析に限らず、顧客接点データの活用全体に共通するものだとみる。財部氏は、「分析の前に必要なデータ整形だけで大きな負荷がかかることがボトルネックになり、活用まで進めていないケースは少なくないと考えています」と説明する。
こうした状況を踏まえ、フライルが提案するのは、AIネイティブの顧客接点データ分析基盤『フライル』だ。あらゆる顧客接点のデータを統合し、データの収集・整形から分析、部門別レポート配信までを一貫して自動化する。プログラミングの知識がなくても、VOC分析、応対品質評価、コールリーズン分析など多様なユースケースに対応するワークフローを柔軟に設定することが可能だ。財部氏は、「顧客接点データを起点に改善につなげる基盤」と位置づける。
分析で得られたインサイトは、改善アクション案とともに、経営層や開発、マーケティングなど、自動で適切な部門にレポートとして配信。これにより、迅速な改善や意思決定の実現を支援する。
現在、同社が注力しているのは、顧客分析AIエージェントとしての機能の強化だ。具体的には、一度、設定・指示をすれば自律的にタスクをこなし、必要なインサイトを必要な部門・関係者に自動で届けてくれる仕組み。また、チャット形式で「知りたいこと」を質問すれば、自社の顧客データに基づき必要な情報を抽出し、根拠となるソースまでたどれる仕組みを指す。これにより、分析ノウハウの有無にかかわらず、必要な情報を自ら引き出せるようになる。これまで一部の専門人材に限られていたデータ活用を、オペレータやSVを含む現場へと広げていくことを支援する。財部氏は、「コンタクトセンターが顧客インサイトを全社に届ける起点となり、戦略的な意思決定に貢献する部門へと進化するための支援をしていきたい」と展望を語る。
会員限定2026年05月20日 00時00分 公開
2026年05月20日 00時00分 更新
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