実践編
第1回新連載
仕事を愛するオペレータが集まるコールセンターは、活気があり、笑顔が絶えず、高いパフォーマンスを誇ります。では、どうすれば「コールセンターの仕事が大好き」という感情は育つのでしょうか。かつて不真面目な新米オペレータだった私が、なぜコールセンターの仕事に魅了されていったのか。その経験から、理想の職場づくりのヒントをお伝えします。
「好きこそ物の上手なれ」と言いますが、コールセンターの仕事もこの言葉がぴたりと当てはまります。コールセンター大好きオペレータが集まるセンターは、常に活気があり、笑顔が絶えません。「このセンターを良くしたい」という職場愛にあふれているので、パフォーマンスも高く、結果として定着率も向上します。自分たちのコールセンターも、こんな素敵な職場にしてみたくないですか。
では、どうしたらそのようなオペレータが育つのか。まずは、私がコールセンター大好き人間になったきっかけからお話ししましょう。
私がコールセンターで働き始めたのは26歳のとき。それまで働いていた商社を辞め、昼間はアーティストの作品を自治体や企業に販売する仕事をしていました。しかし、収入が安定しなかったため、夜働ける仕事としてコールセンターのアルバイトを選びました。
今でこそコールセンターの仕事は大好きですが、当時はお金を稼ぐために選んだ仕事で、正直、熱意はまったくありませんでした。
そんな私を180度変えてくれたのが一緒に働いていた先輩たちです。先輩といっても、ほとんどが大学生のアルバイトで、年下ばかり。それでも、一人ひとりが丁寧に敬語を使い、真摯に仕事に向き合っている。その姿に強い衝撃を受けました。現場全体に高い意識と向上心があり、「どれだけ苦情対応が上手いか」「どれだけ正確にトラブル処理を終わらせられるのか」と、競争意識が自然と生まれ、結果として現場全体のパフォーマンスが向上していました。
そんな先輩たちの仕事ぶりを見ているうちに、不真面目な自分が恥ずかしくなり、「一日でも早く一人前のオペレータとして認められたい」という気持ちが湧いてきたのです。
しかし、自分がいくら成長したいと思っても、教育が受けられる機会や仕組みが用意されていなければ、人はなかなか育ちません。その点、私がいたセンターでは、先輩たちが「自分たちはいずれ卒業するから、後輩を育てなくてはならない」という意識を自然と共有しており、新人に対し丁寧に指導してくれました。さらに、当時としてはまだ珍しかった講師による研修制度も整えられており、学ぶ機会が仕組み化されていました。
社会人経験があった私は、敬語を使えているつもりでいたのですが、電話応対で「了解しました」という言葉を当たり前に使っていました。当然、研修の中で指摘され、「電話応対では『かしこまりました』『承知しました』を使うのが基本」だと指導を受けます。言葉一つにこだわるオペレータの奥深さ、面白さに気づき、この仕事にのめりこんでいくきっかけとなったのが、このときです。
尊敬できる仲間との出会い、さらに教育の機会をいただき、新しいことを学ぶ喜びを知る。こうして、ここにコールセンター大好き人間が誕生したわけです。

このように、入所当初はやる気がなかった私が、いつの間にかコールセンターを好きになれたのは、「お客さまと真摯に向き合い、真面目に働くことが美しい」という意識が、“文化”として根付いていたからです。それが当たり前となっているからこそ、その文化から外れている自分の姿を恥ずかしいと感じ、先輩に追いつきたいと自然と意識が高くなったのです。
さらに現場を管理していた方もモチベーションを上げるのがすごく上手で、行動をよく観察し、良い取り組みをきちんと言葉にして評価していました。先輩たちは空き時間に相談しながら応対マニュアルを作成し、提出していました。すると管理者から「これ、すごくいいね。使わせてもらうよ」と声を掛けてもらえる。こうした声掛けが、現場のモチベーションを高めていたのだと思います。
コールセンター大好きオペレータが集まる良いセンターには必ず文化があります。この文化を作り、根付かせるのがセンター長やSVの仕事です。全体を管理するセンター長は、理想の姿をミッションとして掲げ、進むべき道筋を示すことが必要です。そして、現場を預かるSVは、センターのミッションを実現し文化を根付かせるために、オペレータを導くことが役割です。オペレータを管理するのではなく、我が子を見守り育む姿勢で向き合ってもらいたいです。
また、文化を浸透させる過程では、電話応対の正しい知識や言葉を身につけ、オペレータとしてあるべき姿を学んでもらわなければなりません。指導する側の時間やリソースも限られますので、『BIZTEL shouin』のような、敬語やあいづち、共感の姿勢、苦情対応といった基本がしっかりと学べるeラーニングも有効活用しましょう。
文化を作り、浸透させるのは、時間と手間のかかる大変な仕事です。しかし、文化が定着すれば、コールセンター大好きオペレータが増えていきます。仕事への愛と情熱にあふれた理想のコールセンターを実現していきましょう。
2026年02月20日 00時00分 公開
2026年02月20日 00時00分 更新