コラム
第159回
不安定な世界情勢、円安、原材料費高騰、賃金上昇など、さまざまな要因によって物価高になっている。先日、大阪に出張したが、とくにホテル代が高くなったと思った。自社の経費ではなかったこともあり、少しでも安いホテルを探そうとしたが、主要駅から遠くなる。多少不便でも我慢すれば問題ないと思う。ただし、いくら安くても評判の悪いホテルは選ばないようにしている。
例えば、親友へプレゼントを贈るとき、どのように選ぶだろうか。自分が使うものではなく大切な親友が使うものだから、ブランドや使い勝手など、さまざま検討し、少々高くても良いものを買う。比較して、最安値のプレゼントを選んだりはしない。
システム導入時の見積り比較は、どうだろうか。機能、性能、可用性、拡張性、柔軟性など、比較すべき要素は多岐にわたる。PBXの比較表が欲しい、CRMシステムの比較をしたいなどと、時々、私のところに機能比較の相談が舞い込むことがある。しかし、実現したい要件が決まっていない状況で、機能比較に意味はない。いや、危険な行為である。もし、すべての比較要素で優れていて、最も低価格のサービスがあったとしたら、迷う必要はないのだが、当然ながら、そんなことは起きない。だから、実現したいことを要件として取りまとめ、それに見合ったサービスを探す。この過程が難しいし、専門的な知識と経験が必要なのだが、専門家に頼まず自社だけで要件定義を進めるケースが多い。そして、要件定義を自社メンバーだけで行う企業の多くが、PBXやCRM、FAQなどのITサービスを選定するとき、一番安価なものを選ぶ傾向が強い。
コンタクトセンターのシステム導入において、プロジェクトの遅延や予算オーバー、プロジェクトが頓挫するケースも珍しくない。プロジェクトの進行に苦悩するITベンダーに、今の実態を事前に予測できなかったのかを尋ねると、多くの場合、進行に苦労する可能性を感じていたようである。では、なぜプロジェクト管理など必要な補強をしなかったのかを尋ねると、答えはシンプルだ。価格が高くなり、コンペで選定されなくなるから、提案しなかったのである。
コンタクトセンターを支える機能は多岐にわたるため、機能面で優劣を付けることができず、価格勝負になることが多い。結果として、一番安価なものが選定される。そのような選び方で、はたしてプロジェクトは成功するだろうか。また、安いものを選んだ結果、利用するのは、比較表を作成した人ではなく、センターの現場の人々や自社の顧客である。大切な方々が利用するのに、一番安価なもので良いのだろうか。確かに、金額の高いサービスを選定しようとすると、意思決定者への説明が難しくなる。まったく同じであれば、意思決定者は、わざわざ高いサービスを選ぼうとはしない。しっかりとしたプロジェクト管理が付いている、プロジェクトのアドバイスがある、経験豊富である、営業担当者の機動力が高くて安心である。このような理由を示して、より金額の高いサービスを選定してみてはどうだろうか。リスクを抑えたプロジェクト推進と、より良い機能をユーザーに提供するほうが賢明ではないだろうか。
2025年06月20日 00時00分 公開
2025年06月20日 00時00分 更新