本誌記事 インタビュー DIGGLE 畠山 遼 氏

ハイタッチ重視のプロアクティブな提案

People インタビュー

ハイタッチ重視で“ゴールの共有”を図る
“担当制”が実現したプロアクティブな提案

Excelに頼りがちな収支などの予算管理。それを省力化し、社内の経営情報を円滑に流通させることで迅速かつ質の高い意思決定を支援するSaaSソリューションが「DIGGLE」だ。新設したCCSO(チーフ・カスタマーサクセス・オフィサー)に就任した畠山 遼氏に指針や取り組みを聞いた。

畠山 遼 氏
DIGGLE
CCSO
畠山 遼 氏
早稲田大学政治経済学部を卒業後、総合商社の財務部・自動車部でM&A、海外子会社管理等の業務に従事。トリドールホールディングスにて海外買収子会社のPMI、子会社管理等を行った後、2021年4月にDIGGLEに参画。2023年4月にCCSOに就任。

──事業の概要を教えてください。

畠山 予実管理SaaSソリューション「DIGGLE」を提供しています。わかりやすくたとえると、「家計簿管理の企業版」のようなものです。経営目標である予算に対して実績を比較分析し、打ち手を考えるためのツールです(画像)。IT、不動産、外食業界など幅広い業種の経営企画部門などでご利用いただています。企業規模では100名以上がお客様の中心です。

DIGGLE利用者画面イメージ(サマリー表示画面)

DIGGLE利用者画面イメージ(サマリー表示画面)

──新たにカスタマーサクセス部門のトップであるCCSOを新設された経緯は。

畠山 これまでは、セールスとマーケティングを統括していた役員がカスタマーサクセスも含めてマネジメントしてきました。従来からカスタマーサクセス部門は競合との差別化要素のひとつでしたが、単なる顧客接点ではなく、さらに強化した戦略的な事業部門にしたいというCEOの意図があります。CCSOにアサインされた私自身のミッションは、経営視点でサクセスを考え、顧客の課題解決を深掘りし、事業成長を加速していくことだと捉えています。

──「経営視点でサクセスを考え、顧客の課題を深堀する」具体的な手法は。

畠山 とくに重点を置いているのが「導入前段階の徹底的な課題の意識合わせ」です。ハイタッチでお客様の成し遂げたいゴールを徹底的にヒアリングし、課題が明確になるまで“話し合う”ことをスタート地点としています。1社1社、丁寧に聞いて担当者なりに咀嚼するプロセスが重要です。とくに予実管理は経営指標や業務プロセスなど各社の個別性が高い領域ということもあり、「貴社の課題はこれですよね」というような“押し付けコミュニケーション”だけはしないように意識合わせをしています。

 「導入初期にハイタッチで課題を握る」というのは、シンプルですが試行錯誤してたどり着いた、顧客をサクセスへ導くベストプラクティスです。ゴールさえ共通化できていれば、その後、お客様の意向とのズレが生じにくいことから自然とチャーンも減少します。将来、部分的な自動化をすることがあっても変わらない、変えるべきでない重要なプロセスだと捉えています。

 このハイタッチコミュニケーションを実現するため、スタートからサポートまでを一貫した担当制としています。一般的にSaaSでは、顧客接点は業務で区切って担当が変わるケースが多く、その方が工数は削減できます。しかし、プロアクティブなフォローがしにくく、結果的に後手のチャーン対策に陥りがちです。まずは、ひとりの担当によるハイタッチで理想的な顧客体験を実現します。その上で、他のやり方を模索しています。将来的には、単なるソリューション提供ではなく、「予実管理のベストプラクティス」を発信していきたい。当社のプロダクトビジョンは「組織の距離を縮めて企業の未来の質を上げる」ことです。「成功する予実管理」の提示を通し、より多くの企業のサクセスに貢献していきたいですね。

サクセスは総合格闘技
思考して提案する醍醐味

──ご自身の経歴について伺えますか。

畠山 大学卒業後は総合商社に入社し、プロジェクトファイナンスやM&Aの案件に携わりました。ダイナミックでやりがいはありましたが、より顧客に近い、顧客の反応が見えるところでビジネスがしたいと考え、丸亀製麺などを運営するトリドールホールディングスに転職。持株会社にて海外買収子会社のPMI、子会社の管理などを行いました。もっと現場に触れたい、自らの手でビジネスを拡大する実感を味わいたいという思いが強く、まさに成長段階にあってご縁のあったDIGGLEに入社し、カスタマーサクセス部門の立ち上げ期のスタッフとしてスタートを切りました。はじめの2年間は2~3名で対応をしており、人力でカバーするような状態で苦労も多かったのですが、採用とチーム作りを重ねて現在、12名が在籍。徐々に組織になってきたと実感しています。

──サクセス業務で学んだスキルや経験は何ですか。

畠山 カスタマーサクセス業務は、総合格闘技のようなものだと思います。経営視点で顧客企業の事業やゴールを把握、ソリューションのプロフェッショナルとして要件整理や運用の提案を実施し、そのうえでプロジェクトマネージャーとして伴走し、アフターサポートまで行います。提案して課題解決し、うまくいかなければ別の提案を考えるプロセスはゲームのようでとても面白くやりがいがあります。サクセス業務の醍醐味は、単純なオペレーション業務ではない、自分で試行錯誤するところにあると思います。

 また、多様な業種のお客様のビジネス課題解決に携われることで、成長機会も多くある職種です。経営者視点、サポート視点、さまざまな視座を持った提案スキルは、今後のキャリアで確実に活きていくはずです。サクセス部門はスタートアップ企業が多く設置していますが、仕組み作りや、お客様がスケールすることに貢献している実感を得られるため、大きなやりがいを感じられるのではないでしょうか。未経験の方にもチャレンジしてほしい領域です。

(2023年7月号 月刊「コールセンタージャパン」掲載)

 

2024年01月31日 18時11分 公開

2023年06月20日 00時00分 更新

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