元ファーストクラスCAの接客術“おもてなし力”の磨き方 第42回

2026年11月号 <元ファーストクラスCAの接客術 “おもてなし力”の磨き方>

江上 いずみ

コラム

第42回

来客を応対する際の心づかい・その2

 来社されたお客様を受付で迎え、担当者に取り次いだら、指示を受けて応接室や会議室へご案内しますが、そのわずかな時間にも、お客様に気持ちよく足を運んでいただくための心づかいが大切です。

 ご案内するときは、まず「5階の応接室にご案内します」のように、必ず行き先を告げてから歩き始めましょう。目的地を知らないままエレベーターなどに乗ることは、お客様を不安にさせるかもしれません。事前に行き先をお伝えすることで、安心していただくことができます。

 廊下を歩く際は、「こちらへどうぞ」と、指先を揃えた手で方向を示します。お客様にお尻を向けないよう、右斜め前方2〜3歩先を歩き、お客様に中央を歩いていただくようにします。途中で適度に振り返りながら、お客様の歩調に合わせてご案内しましょう。その際、自分の歩調だけでスタスタと進むのではなく、途中で適度に振り返りながら、お客様の歩調に合わせてご案内しましょう。

 指定された応接室・会議室に着いたら、3回ノックをしてからドアを開け、室内の状況を確認します。入室の順番はドアの開き方によって異なります。

<ドアが外開き(手前に引く)の場合>
 ドアが廊下側に開く場合は、外側に立ってドアを押さえながら、「どうぞお入りください」とお客様を先にお通しします。

<ドアが内開き(部屋の方へ押す)の場合>
 「お先に失礼します」と言って会釈をし、案内する側が先に入ります。 ドアノブを持ち替えてドアが閉まらないように押さえ、「どうぞ」とお客様を招き入れます。

 いずれの場合も、お客様にお尻を向けないよう注意し、ドアは音を立てずに静かに閉めましょう。

 お客様が着席されたら、「○○は間もなく参りますので、どうぞしばらくお待ちください」とお伝えし、一礼して退出します。その際もドアノブをしっかりつかみ、音を立てないよう静かに閉めることで丁寧な印象を与えることができます。

 お客様をご案内したら、その旨担当者に、「△△会社の○○様を応接室(会議室)にお通しいたしました」と伝え、お茶出しの準備に取り掛かります。

 受付から応接室までご案内する数分の間にも、お客様に心地よく思っていただくためのポイントがいくつもあります。

 「おもてなし」とは「この方にこういうことをして差し上げたら喜んでくださるだろうな」と思うことをして差し上げること、そして、「こういうことを言って差し上げたら喜んでくださるだろうな」と思うことを言って差し上げることです。その「おもてなし」は一律ではなく、相手によって変わります。お客様の様子や状況に目を配り、その方に合わせた臨機応変な対応と心づかいをもって、ご案内していきましょう。

イメージイラスト
PROFILE
江上 いずみ
筑波大学・神田外語大学客員教授。Global Manner Springs代表。慶應義塾大学卒業後、日本航空(JAL)の先任客室乗務員として30年間乗務。機内アナウンスに定評があり、JALの機内アナウンス指導クリニック創設者でもある。1987年、皇太子殿下・美智子妃殿下特別便に選出され乗務。現在、大学や医療機関、介護施設、官公庁や企業に講演や研修を行う。著書「JALファーストクラスのチーフCAを務めた『おもてなし達人』が教える“心づかい”の極意」(ディスカバー・トゥエンティワン)「幸せマナーとおもてなしの基本」(海竜社)

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会員限定2026年10月20日 00時00分 公開

2026年10月20日 00時00分 更新

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