東京電力エナジーパートナー

今月のPOINTS!
■システム概要
東京電力エナジーパートナーは、オンプレミス型受電システムの保守期限を機に、Amazon Connect Customerを中核とするクラウド受電基盤「SEEDS(Smart Engagement and Efficient Data System)」を構築。コンタクトセンター18拠点を切り替え、音声テキスト化、会話要約、コールリーズン分析、法令・言い漏れチェックなど、会話データを活用する機能を実装している。
■選び方のポイント
多機能さよりも、オペレータが迷わず使えるシンプルな操作性を重視した。複雑なコールフローやスキルルーティングへの対応力に加え、既存のAWS環境との親和性、グローバルな導入実績、AWSのサポート体制もあわせて選定を後押しした。
■使い方のポイント
会話テキストを要約やコールリーズン分析、法令・言い漏れチェックに活用。法令チェックでは確認項目をリスト化し、生成AIが一次判定する。画面や要約には現場の意見を反映。今後はナレッジ提示、後処理支援、リアルタイム法令チェックへ活用を広げる。
東京電力エナジーパートナーのコンタクトセンターは、全国20拠点以上、2000ブース以上の大規模な体制だ。Webやチャットなどのデジタルチャネルが問い合わせの約6割を占める一方、電話は約4割を占める。引っ越しや契約変更など定型化しやすい手続きはデジタルで完結するケースが増えているが、顧客ごとに事情が異なる相談や困りごとは電話に集まりやすい。そのため、顧客の状況を聞き取りながら柔軟に対応できる電話は、今も重要な接点に位置づけられている。
これまで電話対応を支えていたのが、オンプレミス型の受電システムだ。長年利用してきた同システムは保守期限を迎え、運用を見直す時期に差しかかっていた。従来環境には音声のテキスト化機能がなく、応対内容の確認には録音の聞き直しや手作業での文字起こしが必要だった。さらに、拠点によって利用するシステムも異なり、会話データが分散。品質改善や業務分析に十分活用しにくい状況だった。また、電力自由化以降は、法令やガイドラインに基づく説明事項が増加。1時間当たりの対応件数を示すCPHは、かつての5〜6件程度から一時3件程度まで低下し、品質を保ちながら生産性をどう高めるかも課題となっていた。
そこで同社は受電基盤を刷新。クラウド型コンタクトセンターサービス『Amazon Connect Customer』を導入した。同サービスは、拠点ごとに異なる用件を振り分け、適切なスキルを持つオペレータへつなぐ複雑なコールフローにも対応可能だ。選定理由について、サービスソリューション事業部 副部長の今野拓也氏は、「細かな業務要件には応えられる一方、操作はシンプル。システムの中には機能が多くても、実際にはオペレータが使わないものもあります。何ステップも操作が必要なものより、コアとなる機能があり、手順が少ないことを重視しました」と説明する。また、同社では、デジタルチャネルの開発ですでにAWS(Amazon Web Services)を利用しており、既存環境との親和性や導入実績、サポート体制も選定を後押しした。

新基盤では、用件や発信電話番号、よく使う操作を応対画面に集約。顧客との会話をリアルタイムでテキスト化し、会話履歴や要約も同じ画面で確認できるようにした。要約には、受付内容や後処理に必要な情報を表示する。電気・ガス事業特有の表現も正しく読み取れるよう調整し、オペレータの意見を反映しながら表示内容を見直している。
会話データは、問い合わせの実態把握にも活用する。従来は、顧客がIVRで選択した用件と問い合わせ内容に約4割のズレがあり、適切なスキルを持つオペレータにつながらず、転送が生じるケースもあった。そこで、会話内容から用件を分類するコールリーズン分析を導入し、IVRとのズレを可視化。今後は発話から用件を判定し、適切なオペレータへ自動で振り分ける考えだ。
通話テキストは、法令・言い漏れチェックにも活用する。あらかじめ確認項目をリスト化し、生成AIが会話内容を一次判定。必要な通話をSVやリーダーが確認する。従来は録音をサンプリングして人手で確認しており、工数と網羅性に課題があったが、生成AIによる一次判定を取り入れたことで、チェック範囲の拡大と管理負荷の軽減を図っている。
新基盤の名称は「SEEDS」だ。Smart Engagement and Efficient Data Systemの頭文字を取ったもので、「使いながら育てていくことを前提にしています。自分たちの手で可能性を引き出し、成果につなげていきたい」と今野氏は話す(図)。

その先に掲げるのが、「オペレータの自己完結化」と「システム環境の完全統合化」である。自己完結化では、AIエージェントがナレッジ提示や後処理を支援し、オペレータの検索や判断の負担を減らす。完全統合化では、拠点ごとに分かれている受電システムをSEEDSへ統合し、顧客・契約情報の参照や登録処理などの連携も進める考えだ。こうした取り組みを通じて、オペレータが顧客との対話に集中できる環境を整え、CX向上を目指す。
会員限定2026年09月20日 00時00分 公開
2026年09月20日 00時00分 更新
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