ホスポート

宿泊施設の問い合わせ対応は、いま臨界点を迎えている。
訪日外国人観光客の増加に伴い、電話、メール、LINE、予約サイトのメッセージ機能など、顧客接点は一気に多チャネル化。そのうえ、多言語対応も求められる。一方で、人手不足は深刻さを増すばかりだ。こうした構造上の課題に対し、ホスポートが提供する『Hosport』は、チャネル統合を起点としたAI活用で、解決の糸口を提示している。
チェックイン前の荷物預かりや食事内容などのよくある問い合わせから、ハウスダスト対策、コインランドリーの洗剤の種類など、従来のFAQではカバーしきれない質問まで、多い施設では1日あたり100件にも及ぶケースがあるという。こうした問い合わせは現場の負荷を押し上げている。しかも、それらは複数のチャネルから同時多発的に異なる言語で届く。結果、チャネルごとに確認・翻訳・返信が発生し、対応漏れや遅延のリスクが高まる。
この問題に対し、同社が提供する宿泊施設向け顧客対応自動化サービス『Hosport』は、認定パートナーであるZendeskが提供する顧客対応プラットフォーム『Zendesk』をベースにチャネル横断で問い合わせを一元管理し、統一されたFAQデータベースから回答する設計をとる。ホスポート 代表取締役の西原 宗一郎氏は「チャネルや言語ごとに異なるFAQを作成する必要がなく、運用効率が大幅に向上する」と強調する。
ただし、狙いは“完全自動化”ではない。AIが一次対応を行うが、FAQにない問い合わせや緊急時の対応など、AIが単独で処理しきれないと判断したものは即時施設スタッフに通知し、スタッフが対応を引き継ぐ。このように、AIと人間の役割分担を明確にすることで、ホスピタリティを損なわない運用を可能にした。
導入効果は数字にも表れている。問い合わせ対応時間は1日3時間から30分程度に短縮され、AI応答完結率は約7割。複数施設を運営する企業では、数人がかりだった対応を「1人+AI」で回せるようになった。24時間即時応答や多言語対応により、返信遅延によるクレームやキャンセルの減少も確認されている。
創業の原点は、現場の切実さにある。西原氏は代表を務める別会社で立ち上げたホテル事業のなかで、深夜のトラブルをAIに学習させ自動対応システムを構築。この経験を事業化し、2024年秋にリリースした。
人が担うべき応対の価値を残したまま、チャネルを統合し、一次対応をAIに寄せる──その運用設計が、宿泊業界の問い合わせ対応を次の段階へ押し上げる。
2026年02月20日 00時00分 公開
2026年02月20日 00時00分 更新