トピックス
──日本コンタクトセンター協会
採用難にあえぐコールセンター業において、60歳以上のシニア従業員は貴重な“人財”だ。日本コンタクトセンター協会は、コールセンター業高齢者雇用推進委員会を組織、コールセンターのシニア人材雇用実態調査を実施した。その結果をもとに、このほど『コールセンター シニア人材の雇用・活躍推進のためのガイドライン』を作成。昨年10月・11月に普及セミナーを開催した。
日本コンタクトセンター協会(CCAJ)の人材育成委員会では、多様な人材が活躍できる職業・職場としてのコールセンターの研究を実施。シニア、障碍者、外国籍、在宅勤務などさまざまな対象者の雇用施策などを調査している。この過程で、厚生労働省の外郭団体である独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が、業界ごとにシニア雇用のガイドラインを策定していることを確認。同団体の委託事業として、各事業団体に2カ年でシニア人材の現状調査、ガイドライン作り、普及・啓蒙を支援していることを知り参画。コールセンター業高齢者雇用推進委員会を組織し、24年度から具体的な活動を開始している。
高齢者雇用推進事業では、コールセンター業の産業特性を踏まえ、従業員が高齢(シニア)になってもいきいきと働き続けることができる環境を提供するための施策や好事例を取りまとめた『コールセンターシニア人材の雇用・活躍推進のためのガイドライン』の作成と、その普及活動を目的とする。

事業構成は図1の通り。JEEDがCCAJに事業委託。CCAJが会員企業へのアンケートやヒアリング調査を行い、その結果(報告書)をもとにガイドラインを作成、普及・啓発活動を行う。推進委員会は、東京学芸大学名誉教授で高齢者雇用を専門に研究している内田 賢氏が座長を務め、人材育成委員会の所属企業やシニア雇用に注力するコールセンターBPOなどが参加。シンクタンクとして日本能率協会総合研究所が参画している。

実態調査では、会員企業とその従業員(60歳以上と59歳以下)にアンケートを実施。その結果、全体の従業員の約1割が60歳以上と判明、今後とも働き続けたいと希望する人が多いことがわかった。また、その理由は「生活水準の維持」が最多で、「社会とのつながり」「気力・体力がある」「健康維持」なども多数を占めた。
一方、企業視点ではシニア雇用のメリットとして「定年退職者増に伴う要員不足に対する欠員補充」「技術や技能、スキル継承の観点で、熟練労働者を活用できる」が6割以上、「職場事情に詳しく頼れる存在」という意見も半数を占めた。このため、高齢者の働きぶりには概ね「満足」と回答。ただし「新たな職務への変更が難しい」「個人によっては肉体的、体力的な衰えがある」など課題もある。
アンケート回答を踏まえ、より詳細な実態を把握すべく回答企業から5社を選定し、経営者や人事責任者、従業員(60歳以上、59歳以下)にヒアリング調査も実施。企業視点と従業員視点で、さまざまな意見を採録・分析。これら情報を基にガイドラインを策定した。
CCAJでは昨年10月、ガイドラインの普及セミナーを開催。オンライン視聴を含め約240名が参加し、関心の高さがうかがえた。


セミナーで内田氏は、「シニア活用により業界の『今』『将来』『みんな』を強くできる」と主張。シニアの豊富な経験と知識が競争力の源泉となり、若手・中堅を上回る洞察力と臨機応変な応用力を持つと説明。ITやAIなどのテクノロジーと組み合わせることで、シニアの潜在能力を引き出し、より活用できると述べた。また、将来への貢献としては、50代の従業員にとってロールモデル効果があり、ノウハウや気持ちが次世代に継承されると説明。世代間コミュニケーションの促進と協働の仕組み作りが重要であると強調した。さらに、シニア雇用をきっかけとした働きやすい職場の実現は全世代へ波及効果があると説明。柔軟な働き方や快適な職場環境が全従業員に利益をもたらすと強調した。そのうえで、シニア雇用・活躍推進の6つの指針(図2)を説明した。

普及活動は、11月開催の「コールセンター/CRM デモ&コンファレンス」でも実施。内田氏や推進委員会参加企業などが登壇し、シニア雇用のポイントについてパネルディスカッションを行い、立ち見が出るほどの聴講者を集めた。CCAJでは、今後もガイドラインの普及・啓発を継続する方針だ。
会員限定2026年02月20日 00時00分 公開
2026年02月20日 00時00分 更新