KPI・ミッション・ルール・チャネル戦略 疑うべき『10の常識』

2025年12月号 <特集>

特集

KPI・ミッション・
ルール・チャネル戦略

疑うべき『10の常識』

Part.1 <提言>

待ったナシ、“変化”への対応!
今、見直すべきセンター運営「10のセオリー」

最重要KPIは応答率、マニュアルやスクリプト以外の発言はNG、どんなに長時間通話でも通話料無料、SVはオペレータのお世話役。こうした「常識」を過去のものとしない限り、コールセンターの運営は必ず行き詰まる。消費生活の変化は、顧客接点に対する期待値も変えている。かつ、労働力不足は解消しない。根本的な解決と時代への適応を図るために、“常識”に疑問を持ち、前提と考え方を見直す──そのポイントを検証する。

 国内でコールセンターの設置が一気に進んだのは1990年代後半。約30年の間に運営手法は“型化”され、定石とされるノウハウも蓄積された。しかし、その「常識」がいまや弊害を生んでいる。生成AIの登場でコールセンターの役割・機能に変化が求められつつある今こそ、常識を見直すべきターニングポイントだ。

 慢性的な人手不足を補うため、セルフサポートは拡大したが十分な成果を上げられず、顧客体験は悪化している向きもある。例えば、“コスパ、タイパ志向”の高まりにより、企業(サポート)への期待は「正確さやホスピタリティ」から「速さ・手軽さ」へとシフトしている。にもかかわらず、多くのセンターは従来どおり正確性や丁寧さを最優先し、いわばニーズとズレたサービスを提供し続けているかのように見える。

 人手不足の背景には、コールセンターが就労者/求職者にとって魅力的な職場になっていない点も大きい。ルールは厳格で自由度、権限が極めて小さい。ストレスフルで社会人、ビジネスパーソンとしての十分なスキルを身につけることが困難──。これは「スクリプト/マニュアル遵守」という“常識”の副作用でもある。

 いま、見直すべきコールセンターの「10の常識」を検証する()。

図 コールセンターの疑うべき10の「常識」
図 コールセンターの疑うべき10の「常識」

Part.2 <座談会>

KPIからSV業務、経営との関係まで
時代に即した「正解」を探すマネジメントの役割

なかなか向上しない社内での位置づけ、にもかかわらず変わらない品質管理やKPIの設定。相対する顧客の行動やニーズが変わっても、顧客接点であるコールセンターの働き手に求めるスキルや資質、属性、管理手法は20年前から大筋は変わっていない。Part.2では、コールセンター市場を代表する識者と現役マネージャーによる「疑うべき常識」に関する議論を収録する。

<出席者>(順不同)

谷口 修 氏
谷口 修
イー・パートナーズ
代表
コールセンターは会社の品質を映す“水晶玉”。商品・サービスプロセスに問題があればコールセンターへの入電が増え、問題がなければ減る。だからコールセンターの運営実態から会社の成長の道筋を描ける──。こうした考えのもと経営に貢献するコールセンター運営のコンサルティングを続けている。
内池 智美 氏
内池 智美
Kirala
執行役員
オペレータの成長とお客さまへの価値提供の両立をミッションとする。顧客の声を経営資源として活かし、コールセンターを現場発の戦略拠点として育てている。
山下 未紗 氏
山下 未紗
chotto
代表取締役
「伝える」ではなく「伝わる」コミュニケーションを軸に、D2Cやコンタクトセンター領域でナレッジ設計や対話文化の浸透を支援し、心地よいブランド体験を育んでいる。

<モデレータ> コールセンタージャパン編集部

 コールセンターのマネジメントが直面する課題と今後の方向性を、3人の専門家が多角的に議論した。参加者は、イー・パートナーズの谷口 修氏、Kiralaの内池智美氏、chottoの山下未紗氏。共通して指摘されたのは、変化する顧客ニーズや労働環境に対し、依然として旧来型のKPIや管理手法に固執している点だ。

 谷口氏は「応答率偏重」や「コールセンターのプロフィット化」という発想を誤りとし、サービスレベルや顧客資産維持の視点からセンターの価値を再構築すべきと強調。内池氏は経営がCS部門の情報価値を理解・活用できていないと指摘し、現場と経営の両輪が必要と語る。山下氏は、現場が「コスト」としてのみ扱われる構造を問題視し、センターを「ブランドの顔」「顧客体験を創る場」として再定義する重要性を説いた。

 また、AI時代における役割変化にも言及。AIと人の役割を固定化せず、柔軟に最適化すべきとし、SV職やモニタリングも再考の余地があるとした。とくに内池氏は階層を排した自律的運営を実践しており、谷口氏も評価基準の自動化や目的再設定を提案している。最後に3氏は、「問い合わせゼロ=ベストサービス」という考え方や、単一指標に頼らない多角的な評価の必要性を指摘。コールセンターが企業成長の“戦略拠点”となるには、常識を疑い、柔軟で能動的なマネジメントが不可欠だと結論づけた。

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2025年11月20日 00時00分 公開

2025年11月20日 00時00分 更新

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