SBIいきいき少額短期保険

今月のPOINTS!
■システム概要
24時間対応の自動音声応答および電話問い合わせ窓口の営業時間外の対応に、モビルスが提供する生成AIを活用した『AIエージェント型ボイスボット』を導入した。
■選び方のポイント
従来ボイスボットとして、モビルスが提供する『MOBI VOICE』を導入・運用。モビルスの伴走支援のなかで、運用課題に基づいた生成AIの活用提案を受けた。
■使い方のポイント
過去のボイスボットのログのうち、正確に音声認識ができていなかったり、顧客が離脱してしまったりしているケースを基に発話テストを行い、プロンプトを調整。さらに、モビルス協力の基、現場のマネージャー層にプロンプト・エンジニアリング研修を実施して、現場完結型の運用体制を整備した。結果、従来のボイスボットと比較して会話完了率は20%向上、営業時間内のかけ直しは60%削減できた。また、SVがボイスボットの音声ログ確認業務に費やしていた時間を本来業務のオペレータ管理・指導に充てられるようになったことも大きな成果だ。
ボイスボットのUI/UXは、デジタルに慣れ親しんでいる若年層向けの設計で、シニア顧客にとっては“親切ではない”ことが多い。
60代〜80代を主要な顧客層とするSBIいきいき少額短期保険は、顧客の利便性向上を目的に、「新規問い合わせ」「既契約者向け」の一部の電話窓口に、モビルスが提供するボイスボット『MOBI VOICE』を導入。主に窓口の営業時間外の対応を行っていたが、会話の途中で離脱して営業時間内に再入電するケースや、会話は完結できていても必要な情報を得られていないケースが少なくなかった。
カスタマーサービス部 ビジネスセンター副センター長の今村哲哉氏は、「ログを見ると、話速がゆっくりで発話途中にタイムアウトしていたり、言葉の詰まりを発話完了と誤認して次の質問に進んでしまったりしていました」と振り返る。さらに、「ちょっと待って」や「やっぱり妻の名前で登録して」など、会話の流れから逸脱した発話にボイスボットが対応できず、顧客が不満を感じているケースも見られた。
ボイスボットのログは不完全なものが多く、SVが1件1件音声を確認して、後続処理に必要な情報を修正する必要があった。また、テレビCMを見て問い合わせている場合は、テレビの音声が発話に混ざり、誤認識の要因となっていた。「ログの修正、確認のための顧客への架電に、月間で約74時間費やしており、SVの主要業務であるオペレータ管理・指導の時間を圧迫していました」(今村氏)。

当初の導入目的であった利便性向上につながっていないばかりか、電話は同社にとって “契約の入口”となるチャネルであるため、途中の離脱は機会損失を意味する。
これらの課題解消の一手として同社が取り組んだのは、自動応答における生成AIの活用だ。同部CS企画グループリーダーの須藤大地氏は、「モビルスの運用支援を受けるなかで、提案いただきました」と振り返る。
モビルスが開発した機能で、顧客の話し方や状況に応じて柔軟に対応し、あいまいな依頼でも意図を深掘りして必要な情報を聞き出す『AIエージェント型ボイスボット』を導入。2025年6月から1カ月間、PoC(概念実証)を実施した。
PoCでは、引き落とし口座の変更や証券/更新証再発行、医療・死亡・介護保険の請求など全14の会話フローを検証した。多様な発話に対応できるよう発話テストを行いながら、生成AIプロンプトを調整。
発話テストは、今村氏をはじめコールセンター内に組成した生成AIチームとSVが顧客役となり、従来のボイスボットが正確に音声認識できていないケースや会話の途中で離脱しているケースも含む約100パターンを実施した。今村氏は、「聞こえ方や言葉の詰まりといった高齢者特性も踏まえてテストパターンを作成しました」と説明する。
実証の結果、従来のボイスボットと比較して会話完了率は20%向上し、営業時間内にかけ直しているケースも60%削減。ログの確認・修正などの後処理作業時間の半減も確認できた。須藤氏は、「ある程度、想定外の雑談にも対応し、会話の軌道修正をできるようになったことが、完了率向上に寄与しています」と述べる。
例えば、証券番号の確認を求めたが、顧客が証券番号の記載箇所がわからず、「どこ見たらいいの?」のような発話をした場合は、ナレッジを基に記載箇所を説明したり、「ゆっくりとお探しください」といった寄り添いの言葉をかけられるようになった(図)。

これらの導入効果を確認し、正式導入を決定。生成AIの力を最大限に生かすには、現場での柔軟な対応と改善の積み重ねが不可欠という思いから、マネージャー層にプロンプト・エンジニアリングの研修を実施。ボイスボットの応答状況に合わせて即時にプロンプトを調整できる体制を整備したうえで、本格稼働に移行した。
今後、同社はSBIインシュアランスグループ企業のコールセンター受託業務を拡大する方針のもと、営業時間内にもボイスボットを活用できるよう取り組みを進めていく。
会員限定2025年11月20日 00時00分 公開
2025年11月20日 00時00分 更新