アルビオン
今月のPOINTS!
■システム概要
「ポール & ジョー公式オンラインストア」「アナ スイ ジャパン公式ウェブストア」のチャット対応窓口として、Channel Corporationが提供するチャット接客ツール『チャネルトーク』、AIエージェント『ALF』を導入した。
■選び方のポイント
同社が目指す顧客体験重視のサイト設計に合致していたことに加え、利用しているECプラットフォームと連携できることや、顧客体験向上を図るための機能の充実が決め手となった。
■使い方のポイント
チャット対応は、画像や動画を利用したり、希望者には指定の住所にサンプル商品の送付を行うなどして購買体験を補完。さらに、回答文などに絵文字や顔文字を使用して“温かみ”を伝える工夫をし、店舗での接客と同様の「質問しやすい環境」を構築した。2024年にはAIチャットも導入し、問い合わせ対応に加え、注文キャンセルや送り先変更も自動で対応可能にしたことで、これまで以上にスタッフが購買前の問い合わせ対応に集中できるようになった。
「評判のよい店舗は、総じてお客様がスタッフに質問しやすい環境を構築できています。会話体験を通してお客様は購買意欲やブランドへの愛着を高める──それは、実店舗でもECサイトでも同じです」。そう強調するのは、化粧品の製造・販売事業を展開するアルビオンの国際ブランド営業部 国内推販グループ グループ長の榊原隆之氏だ。
同氏は、「ポール & ジョー公式オンラインストア」「アナ スイ ジャパン公式ウェブストア」の2つのブランド(EC)サイトの運営を担っている。
問い合わせ窓口はメールフォームで、ブランド専任のCS担当が対応している。両ブランドとも愛着を強く持っている顧客が多いことから、真摯な対応ができる人材として実店舗の美容部員経験者などを登用している。
問い合わせは、「(誤って購入したので)キャンセルしたい」といった購入時トラブルが多い。これらは、ECサイトでの購買を起点として発生するため、顧客が自宅でリラックスして過ごしている夜間帯に集中する。そのため、翌朝の営業時間帯に優先順位をつけて返信せざるを得ず、「聞きたい時、困っている時に求めている答えが得られず、お客様の購買意欲を阻害していることは明らかでした」(榊原氏)。
そこで、即時解決が可能なチャネルを検討。FAQの充実を図るなどの施策を経て、有人チャットを検討。比較検討の末、Channel Corporationの『チャネルトーク』を導入した。
同社が利用しているECプラットフォーム「Shopify」と連携し、チャネルトーク上で顧客情報を確認しながら、顧客1人ひとりの状況や購買意欲に合わせた応対を実践できることに加え、顧客体験向上につながる機能を有している点を評価した。
機能において最大の決め手となったのは、「チャットコミュニケーションの継続」だ。サイトを離脱するなどしてセッションを閉じても、再訪した際に履歴をさかのぼって確認可能なため、同一内容での再問い合わせの抑止が期待できた。
2022年から、チャットによる画像や動画を利用した対応を開始。チャットの問い合わせメニューや回答文に絵文字や顔文字を使用して “温かみ”を伝える、といった工夫も手伝って、顧客が気軽に質問しやすい環境を構築。従来の購入時のトラブル対応以外にも、「自分にはどのファンデーションが合いますか?」といった店舗と同様の質問が入るようになった。
こうした質問には、動画で色味を見せたり、希望者には指定の住所にサンプル商品を送ったりして、“実体験”してもらっている。榊原氏は、「どこでも誰でも“来店”できる顧客接点として、よい買い物体験を提供したい」と強調する。
チャットで気軽に問い合わせられるようになったことで、問い合わせは増加し、比例して両サイトの売り上げも伸長している。
2024年11月、問い合わせ件数が増加したことを背景に、さらなる顧客体験向上を目指し、チャネルトークの生成型AIエージェント『ALF』を導入。チャットを開始した際に表示する用件メニューに「AIに聞いてみる。」を追加し、顧客が対応相手を選択できるようにした。
導入前、社内では榊原氏も含め「コスメに関する質問で、わざわざAIを選択する人はほとんどいないのでは」という懐疑的な意見が多数を占めていた。しかし、ふたを開けてみると、「気軽に何でも聞ける」こともあってか、スタッフよりもAIを選んで問い合わせる傾向が強かった(図)。また、96%超という正答率の高さも利用促進につながっている。これは、榊原氏による毎日のチューニングの成果といえる。AIへの問い合わせから購買につながるケースも増えているという。
さらに、ALFのコマンド機能を通じて受注システムと連携、注文キャンセルや配送先の変更も自動化したことで、これまでよりも購買前の問い合わせ対応に時間を割けるようになった。今後もチャネルトーク活用を加速させ、同社の目指す真摯なコミュニケーションの実現を追求する。
2025年05月20日 00時00分 公開
2025年05月20日 00時00分 更新