対処法より大事なもの

「言われた通りにやりました!」
「じゃあ、どうすれば良いんですか!」
SVやトレーナーなら、コミュニケーターから1度は言われたことがあるのではないでしょうか?

クレームの対応の時、まずはお客様の話をよく聴くことが重要と言われ、お客様の話を淡々と聞いていたら、
「はい、はいと言ってるだけで誠意がない」
と言われたとか。
受付時間外になったので、お断りしたら烈火のごとくお怒りになられてしまったとか。
例を出すと、枚挙に暇がありません。

結果として、トラブルに陥っていることがほとんどで、さらに指導を重ねてみても、コミュニケーターがかたくなになっていて、指導が困難な場合もよくあります。


まずもって認識しておきたいのが、どんなお客様にも100%OKという応対はないということです。
話し方のマナーや言葉遣いなどは、相手が不愉快にならないように考えられて磨かれてきたものではあるけれど、絶対100%ということはありません。
相手の状況や心の状態で、どんな言葉も気に障る可能性を秘めています。

コミュニケーターには、どう対応するか? よりもまず先に、
・どんなお客様なのか?
を考え、察することを教える必要があるのではないかと常々思います。
お客様がいきなり怒り出したんです、とコミュニケーターは言いますが、後でモニタリングをしてみるときっかけの一言を言ってしまっているものです。
しかも、後ほど指導をしたとしても、なかなか気づいてもらえなかったり・・・


どうやらこれは、従来の研修の在り方に、要因のひとつがあるような気がします。
コミュニケーターのスキル研修でよくあるのが、
・相槌の打ち方やバリエーション
・質問の仕方
・復唱のポイント
などが思い浮かびます。
対応の仕方、対処方法なのですが、では、どんな時の対処方法なのでしょうか?
どのようなお客様への伝え方なのでしょうか?
このお客様の気持ちを置き去りにしてしまったことが、要因の一つなのではないでしょうか。

お客様はどんな気持ちでしょうか。
なぜ不愉快な気持ちを持たれているのでしょうか。
ただ、問題を解決して欲しいと思っているだけなのでしょうか?
答えはお客様にしかなく、十人十色、千差万別です。
そうして、お客様の気持ちや状況がわかるからこそ、次の打つ手が決められるのではないでしょうか。


私が所属している「きくスキル研究会」 では、このスキルを“心情察知力”と名づけています。
まずは、SV・トレーナーがお客様の心情察知ができること。
今度は、それをコミュニケーターにトレーニングすることができて、
「言われた通りにやりました!」が「言われたことが活かせるようになりました」とコミュニケーターに言ってもらうことができるのではないでしょうか?

きくスキル研究会 藤木 健

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2024年01月31日 18時11分 公開

2013年02月27日 09時56分 更新

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