毎日できるメンタル・ケア 第4回

 
「チームワーク」の場を作ろう

著者:きゃりあす 奥 富美子
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 コンタクトセンターは、大人数でひとつの業務を行っているようにみえて、実はたった1人で顧客対応する個人プレーです。チームワークを必要とするシーンがあまりありません。

 3年ほど前、30名程度が在籍するあるセンターでのことです。お互いに反目し合うことはないものの、協力し合う印象は薄いセンターでした。誰もが業務を真面目にこなし、終わったら帰るを繰り返すだけ。特徴的なのが、リーダーやSVとコミュニケータとの間に見えない“壁”が存在することでした。

 「何回も質問したら悪いなぁ」「誰に質問していいかわからない」「自分がまだできていないからいけないんだ」――コミュニケータはこのように感じ、管理者に対して遠慮がちでした。
 また、コミュニケータ同士の距離も近くはありませんでした。「新しい人は、名前もよく分からない」「顔は知ってるけど、話したことないからどんな人か分からない」「名前を知らないから声かけられない」という具合です。

 仕事の話でさえも遠慮がち。仕事以外の話などする機会はないのですから、協力しあう雰囲気などできるはずありません。
 そうしたなか、管理者が困っていたことは、電話応対のスキルが上がらないことでした。これに対し彼らが考えた改善案は、「応対録音を評価してて個別指導を行う」「応対スキル研修をする」ことでした。私はこれに反対し、“楽しく働く”ことを提案しました。

 具体的には、業務後にコミュニケータもリーダーもSVも一緒になって、コミュニケーションを取りながら楽しく学ぶ時間を設けました。月替わりのメニューで全員が参加します。「塔を建てる」「ブロックを組む」「お笑いをつくる」などさまざまなグループワークの体験は、コミュニケーションを取って互いに分かり合う仲間を作っていきました。

 ワークの実施後は、「今まで話したことのない人にも声をかけやすくなりました」「相手の気持ちはどうだろうと考えるようになりました」という感想をもらいました。そうするうちに、個々が変化し応対が上手になっていきました。遅刻欠勤もなくなり、「仕事が嫌・職場が嫌」を理由とした退職者は出ません。明るくまとまりのあるチームとなっていきました。

 とくに、「マシュマロ・チャレンジ」は好評でした。4人ひと組になって、スパゲティの乾麺20本と90cmのテープ、ひもを使って塔を建て、一番上にマシュマロを載せるというチームビルディングのワークです。詳しくは、『TED日本語 - トム・ウージェック: 塔を建て、チームを作る』で知ることができます。

 個人プレーの職場だからこそ、チーム全員が力を合わせて何かを成し遂げる体験をあえて設けることが必要だと私は思います。

(コンピューターテレフォニー2014年3月号掲載)

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2024年01月31日 18時11分 公開

2014年03月20日 10時47分 更新

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