本誌記事 ケーススタディ カオナビ

カオナビ

カスタマーサクセスの役割はLTVの最大化!
ヒアリングで潜在ニーズを見極め活用支援

カオナビのカスタマーサクセスは、長期的な顧客関係の構築を目的に、主な役割を「解約阻止」と「アップセル」とし、オンボーディングとその後の継続的な活用支援を徹底。ソリューションの利用状況と、カスタマーサクセスとの関係性からヘルススコアを算出。的確に解約予兆をとらえて防ぐことで、解約率の低減を実現している。

 タレントマネジメントソリューション「カオナビ」を主軸に事業を展開するカオナビ(東京都渋谷区、佐藤寛之 代表取締役社長 Co-CEO)は、事業戦略上、カスタマーサクセスをもっとも重要な差別化ポイントと捉え、解約抑止に力を入れている。

 カスタマーエンゲージメント本部は、カスタマーサクセス部とカスタマーサポート部、コミュニティ運営などを行う戦略推進部の3部で構成され、約60名が所属している。

解約抑止とアップセル
相関性のある目標で活用を促進

 同社では、2021年、カスタマーサクセスの担当者の呼称を、「カスタマーサクセスアドバイザー」から「カスタマーサクセスマネージャー」に変更した。カスタマーサクセスマネージャーの主な役割は活用支援やアップセルで、ミッションは「契約更新」「アップセル」としている。これらの成果を引き上げるために、カスタマーサクセスマネージャー達は、日々、ユーザーとのコミュニケーションを重ね、カスタマーサクセスを実践している。

 カオナビの主なユーザーは、人事部門の社員。サービス利用開始から6カ月をオンボーディング期間とし、専任のカスタマーサクセス担当者が、カオナビを使いこなせるようオンボーディングを行う()。

図 専任スタッフが伴走
図 専任スタッフが伴走

 カスタマーエンゲージメント本部 部長の大森正江氏は、「タレントマネジメントという性質上、お客様の導入目的や実現したいことは多岐にわたります。人材管理や人事評価のシステム化という顕在化した課題はもちろん、それらを実現した上でどういう状態を目指したいのか?という背景を必ずセットでお伺いするようにします」とオンボーディングのポイントを説明する。

 その後も、カスタマーサクセス担当によるコミュニケーションを重ね、継続的に活用を支援する。契約更新の半年前から次年度の契約更新に向け、利用状況の確認や更新の意向をヒアリング。契約更新の意向と合わせて、「お客様の推進体制を把握できているか」「予算取得状況や稟議フローを確認できているか」「次年度のサクセスプランを提示できているか」といった情報をCRMソリューション「Salesforce CRM」に記録し、契約更新の確度をセールスフォースで可視化する。顧客のステータスによって採るべきアクションを定義し、それを実践することで更新率の向上を図っている。

 一定期間、ログインしていない場合なども、活用につながる提案を積極的に行う。電話をかけて困っていることなどを聞き、それを支援するためのミーティングを提案する。

 解約抑止とアップセル、異なる目標にみられることもがあるが、相関性がある目標設定。活用がうまくいっているお客様がアップセルに繋がりやすく、またアップセルにより活用促進の武器が増えるので解約しにくくなる、と捉えている。

 「アップセルをカスタマーサクセスマネージャーの目標に設定してから、よりお客様の潜在的ニーズを掴むために仮説を立てて提案する意識が醸成されたと感じます。これはアップセルで成果を創出するだけではなく、お客様のさらなる活用を促すことにつながります」(大森氏)

約7000人参加の専用サイト
ユーザー同士の繋がりも創出

カスタマーエンゲージメント本部カスタマーサクセス部 部長の大森正江氏
カスタマーエンゲージメント本部カスタマーサクセス部 部長の大森正江氏

 約7000人の人事担当者が参加するユーザー専用サイト「カオナビキャンパスオンライン」などを通じた活用支援も行っている。インタラクティブなやり取りが可能なオフライン/オンラインセミナーは、年に100回を超えて実施。定期的な情報発信や、ユーザー同士の活発な情報共有を生み出している。

 「人事担当者は、業務の特性上、社内で孤立しやすい。社外の繋がりを求めている方は少なくありません。新たな労務制度やルールを、いかに解釈し、どう処理すべきかといった相談が、ユーザー同士で活発に話し合われています」(大森氏)

 解約予兆は、ヘルススコアをベースに把握。

 ヘルススコアは、利用実績スコアとエンゲージメントスコアの2つのスコアの合算で測定している。利用実績スコアは、登録や機能活用の有無などから100点満点で算出。エンゲージメントスコアは、カスタマーサクセスとのコミュニケーション回数やアンケート結果、コミュニティへの参加状況などから、同じく100点満点で算出している。

 ヘルススコアから解約予兆をとらえ、フォローを重ねることで解約率を低減。大森氏は、「今後も、カスタマーサクセスによるコミュニケーションを深めることで、さらにエンゲージメントを高めたい」と意気込む。

(月刊「コールセンタージャパン」2025年4月号 掲載)

2025年03月20日 00時00分 公開

2025年03月20日 00時00分 更新

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