米マイクロソフト、米ニュアンスコミュニケーションズを買収

米マイクロソフト(以下、マイクロソフト)は2021年4月12日、ヘルスケア業界などを中心に音声認識ソリューションを提供する米ニュアンスコミュニケーションズ(以下、ニュアンスコミュニケーションズ)を、一株当たり 56.00ドルで買収する方向で最終合意した。買収は本年中に完了する予定。マイクロソフトは急速に変化するヘルスケア業界のニーズに総合的に対応することを目指しており、今回の買収も同業界向けクラウド戦略の一環だ。

ニュアンスコミュニケーションズの製品には、「Dragon Ambient eXperience」「Dragon Medical One」「PowerScribe One」など医療関連の音声認識サービスが複数あり、すべて「Microsoft Azure」上で構築、SaaSとして提供されている。EHR (電子カルテ) などのヘルスケアのコアシステムとシームレスに連携し、医療関連文書管理の負担を軽減、"患者体験"を向上できるようヘルスケアプロバイダーを支援するものだ。現在、これらは米国の医師の55%以上、放射線技師の75%以上に使用され、米国内の病院では77%のシェアを占めているという。ヘルスケアにおける関連収益は、同社の会計年度において前年比の37%増加している。

2019年に発表された両社のパートナーシップをベースに、マイクロソフトがヘルスケア業界向けに展開するクラウドサービス「Microsoft Cloud for Healthcare」とニュアンスコミュニケーションズのエンタープライズAIの組み合わせにより、パートナー向けエコシステムのさらなる拡充につながったと判断し、この買収に至った。買収により、ヘルスケアプロバイダー市場におけるマイクロソフトの獲得可能最大市場規模 (TAM) は約 5000 億ドルに倍増すると試算している。両社は、拡大したパートナーエコシステムでも既存の事業をさらに強化していくと共に、データプライバシー、セキュリティ、コンプライアンスにおいても高水準の品質維持を目指す。

なお、ニュアンスコミュニケーションズのCEOであるマーク ベンジャミン氏は現在のポジションに留まり、マイクロソフトの Cloud&AI担当エグゼクティブバイスプレジデント、スコット ガスリー氏の直属となる。

 

2024年01月31日 18時11分 公開

2021年05月10日 15時39分 更新

その他の新着記事

  • スーパーバナー(リンク1)

購読のご案内

月刊コールセンタージャパン

定期購読お申込み バックナンバー購入