ITフォーラム 2020でコンタクトセンターフォーラムが成果報告

 情報処理学会は、このほど都内で「ITフォーラム 2020」を開催した。コンタクトセンターフォーラムでは、「時代の文脈から考えるコンタクトセンターの価値」をテーマに、住信SBIネット銀行の松丸 剛氏、東京海上日動コミュニケーションズの田口 浩氏、松井サービスコンサルティングの松井拓己氏、日産自動車の相楽香織氏が講演した。

 松丸氏は、自社のコールセンターについて、「お客様中心のポリシーでファンを作ることを目的に運営している」と説明。音声認識ソリューションを導入しACW(後処理)を自動化することで、オペレータがVOCを引き出すような会話に集中できる環境を整えた。パッシブ(受け身)からアクティブに意識を変える研修を行ったうえ、5W2Hを意識して会話することを指導した結果、VOCが充実。サービスの改善につなげている。

 田口氏は、自社で実践しているナレッジマネジメントのフレームワーク「KCS」について解説(写真)。KCSを導入した背景について、田口氏は「オペレータが高齢化し新たな知識の習得が難しくなっていた。すべての問い合わせ対応をFAQベースにすることで安心感を持たせたいと考えた」と説明した。



 松井氏と相良氏は、「経営に貢献するコンタクトセンターへの変革をリードする人材とは」というテーマで対談。2人は、長年取り組んでいるセンター長のタイプ分類について説明したうえ、時代に沿った理想のセンター長に変わるために何から着手するか議論した。

 これらの講演を受けて、パネルディスカッションも行った。モデレータはつなぐ研究所の河合 洋氏が務めた。VOCやナレッジの充実がもたらす効果について議論した。
 田口氏はKCS導入の効果について、「ナレッジを提供することで知識に自信が付き、離職率が改善された」と説明。相良氏は、「仕事が楽になる、というだけではなく喜びにつながっているということが伝わる」と感想を語った。
 河合氏は、「お客様の問題を解決することが、オペレーターにとって、感謝され喜びにつながる。また、会社のサービス改善に貢献できることで、会社への貢献感も感じられる。センター長は、VOCの流れを作り、オペレータにその意義を伝える役割を果たすべき。コンタクトセンターの価値はサービスを改善し、使っていただく、リピートを増やすことにある」とまとめた。

2024年01月31日 18時11分 公開

2020年02月19日 15時09分 更新

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