Nemesysco社、感情解析の3つの活用を提案

コールセンターに蓄積される通話音声データに含まれる非言語情報(パラランゲージ)から、顧客あるいはオペレータの“真の感情”を可視化する――顧客満足度向上あるいは従業員満足度向上を実現するには、ときに言葉の裏側に隠れた感情を把握することが必要だ。

近年は、音声認識を活用して通話音声をテキスト変換してVOC(顧客の声)分析するニーズが拡大しているが、テキスト情報では会話の温度感や話者の感情の起伏が読み取りにくい。例えば、顧客の「ありがとう」という言葉が本当に満足を表しているのかは、顧客本人以外は判断できない。

イスラエルに本社をおくNemesysco社は、感情解析エンジンによる「①顧客満足度の可視化」「②フィードバック支援」「③マネジメント支援」3つの効果を提案する。

Nemesysco社の感情解析エンジンは、軍事技術を基に1997年に開発。音声を、「エネルギー」「感情的」「ストレス」など151のパラメータに分解して解析し感情を把握する。同社CEOのAmir Liberman(アミール・リバーマン) 氏は、「人間が脳で考え発話するまでのプロセスは、言語・民族・性別・年齢にかかわらないため、すべての人種に適用可能」と説明する。国内では、IVRや通話録音装置などCTI系システムの開発に強みを持つログイットが感情解析エンジンを日本語化した「LVAS(Logit Voice Analysis Solution)シリーズ」を提供するなど、複数社がコールセンター向けにソリューション化して展開している。

①顧客満足度の可視化は、リアルタイムの感情解析による顧客の感情の把握し応対の目安とする。例えば、顧客が不満を感じている通話を検出し、SVが先回りしてフォローすることによるクレームの抑制などが期待できる。また、購買意欲の有無を把握してトークを進めることで、購入・契約率の向上を図ることも可能だ。近年は、満足した顧客を抽出し、CSサーベイやNPS(ネット・プロモーター・スコア)で、高得点を示した顧客との相関分析を要望する声も挙がっている。

②フィードバック支援は、オペレータ1人ひとりの応対中の感情の推移を一定期間モニタリングすることにより、急激な不満や不安の表出など、離職の予兆を検知する。落ち込んでいるオペレータに対して日ごろの感謝を伝えたり、不満や不安の原因を究明することで離職を抑制する。

③マネジメント支援は、蓄積した通話音声データを分析することにより、センター全体の状況を可視化する。例えば、オペレータのストレスレベルをKPIに設定して、業務改善や増員計画に活かすなど、マネジメントの質を高める材料とすることが期待できそうだ。

今後は、国内のパートナー企業との連携を強め、これまで以上にコールセンターのニーズに応える活用提案を行う方針。リバーマン氏は、「顧客視点に基づいた企業活動の支援をミッションとして、感情解析エンジンの強化を進めていく」と強調する。


写真左から、Nemesysco社CTOのOren Sarig(オーレン ・サリッジ)氏、CEOのAmir Liberman(アミール・リバーマン)氏




 

2024年01月31日 18時11分 公開

2020年02月04日 17時37分 更新

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