サービス産業生性協議会は、顧客満足度調査であるJCSI(日本版CSI)の業種上位企業の事例を紹介するCSフォーラムの拡大版として、CS担当者向け異業種交流会を神奈川県の葉山町で2日間にわたって開催した。
初日は、帝国ホテル東京総支配人兼事業統括部担当の定保英弥氏が「帝国ホテルが提供する“おもてなしの心”」と題して特別講演を行った。
明治23年に「日本の迎賓館」として開業した帝国ホテルは、JCSI「シティホテル」業種で4年連続顧客満足度第1位の評価を受けている。定保氏は、「ハードウエア(設備、機能などの定期メンテナンス)、ソフトウエア(サービスの仕組みの改善)、ヒューマンウエア(従業員教育)の3つを高品位でバランスを取ることに重点を置き、守るべき伝統は守りつつも、常にイノベーションを図っています」と解説した。
続いて、女性向け衣料品ビジネスを展開するハニーズ代表取締役社長の江尻義久氏が、「ハニーズの経営戦略とグローバル展開」と題して講演し、法政大学 大学院教授 小川 孔輔氏が解説した。
「感動を呼ぶコールセンター」をテーマとして行われたパネルディスカッションでは、オルビス フルフィル・CRM推進室の野部祥子課長、チューリッヒ・インシュアランス・カンパニー・リミテッド 日本支店 ダイレクト事業本部カスタマーケアセンターの米倉慎一郎部長、ジャルカード お客様サービスセンターの今田智也副部長がパネリストを、日本生産性本部 経営コンサルタント 小倉高宏氏が司会を務め、各社がそれぞれの取り組みを披露した。
2日目は、JCSIの調査設計や分析を行っている青山学院大学 経営学部の小野譲司教授が「JCSIでわかること」として調査結果を分析、解説した。
小野教授は、「JCSIは、顧客期待や知覚品質/価値など顧客満足の構成要素や推奨意図、ロイヤルティといった要素で構成しているが、それぞれのスコア値だけに目を向けてもあまり意味 はない。各要素の相関関係を示す“パス係数”を算出しているので、それに着目して欲しい」と強調するなど、より高度は結果の読み方を指南した。
また、事例講演として「CS先進国九州の挑戦」と題し、高評価を受けている九州旅客鉄道(JR九州)とスターフライヤーの2社の担当者が登壇。JR九州 サービス部の豊饒英之課長は、国鉄時代の最低の評価から脱するために実践したすべての駅のサービス品質をランキング化した取り組みなどを紹介。スターフライヤー CS推進室の松山卓司氏は、「顧客の不利益は会社の不利益という考え方が基本。目の前の利益を犠牲にしてでも、中長期的な継続利用を重視する」という方針のもとに実践してきた数々の取り組みを説明した。両社ともに、CS重視の取り組みでここ数年はCS調査だけでなく業績も向上している。
また、やはりJCSIでトップ評価を受けている一休.com、全日本空輸の事例講演を行われ、「不満足の解消」「人的サービスの拡大と向上」の重要性をそれぞれ強調した。