リックテレコム、第2回コンタクトセンター・アワード2016特別セミナーを開催

リックテレコムはこのほど都内で、第2回コンタクトセンター・アワード2016特別セミナー「受賞企業に学ぶベストプラクティスの道程」を開催した。

今回は、2015年にピープル部門 最優秀部門賞を受賞したSBI証券の酒井智子氏による講演およびパネルディスカッションを行った。


講演では、新人研修の見直しにより、エスカレーション率と離職率を改善した取り組みを発表した。
SBI証券では、
入社直後のオペレータに、コールセンターがどのような道のりを経て進化してきたのかや、センターが会社にどう貢献しているのかなどを説明する15分の動画を作成。
「アンケートを行った結果、採用時時給や職場の場所を基準に就職を希望しているオペレータが多いことわかりました。入社直後の説明会で、企業理念やミッションなどをいきなり伝えるよりも、職場の雰囲気や成り立ちを説明する方が帰属意識につながると考えいました」(酒井氏)
さらに、カードに書かれた会話例を繰り返し見る学習方法や、「お客様がどう感じたか」のみをフィードバックするロールプレイングを紹介した。
これらの施策により、同社ではオペレータに起因するエスカレーションと、早期離職はいずれも半減したという。

パネルディスカッションのテーマは「リーダーシップ」。
SBI証券の長島佳子氏、2014年最優秀部門賞を受賞したDHLジャパンの河口朱美氏、アワード事務局の谷口 修氏をパネラーに迎え、モデレータは月刊コンピューターテレフォニー編集部の矢島竜児が務めた。

まず、DHLジャパンにおけるリーダー育成を検証した。
同社では、“理想のリーダー像”の定義を
「敬意重視型」「成果重視型」の行動をとれることとし、それを実践するためのマインドセットやスキルアップのための育成プログラム、一定期間別のプロジェクトチームの業務に携わる社内留学制度「CSチャレンジプログラム」を用意している。
リーダーシッププログラムは、リーダーに必要な意識改革に加え、例えば「部下に気付きを与えるためコーチングでは質問を行い、意見は言わない」といった具体的な手法を学ぶ。
「リーダーシップに対し個々人が持っている凝り固まった考えを柔軟にするといった効果があります」(河口氏)
なお、社内留学制度は、3カ月~1年の範囲で希望者に適用される。
谷口氏は、「キャリアプランを、上位下達で決められるのではなく、自主的に構築できるすばらしい仕組み」と評価した。

次に、コールセンターにおける採用難対策を検証した。
河口氏が、「キャリア支援を含む既存スタッフの定着には非常に注力しています」と話すと、谷口氏は、「長く継続して働くためには、承認し合える文化が不可欠。敬意重視型の管理者育成への取り組みは、非常に有効だと感じます」と付け加えた。
また、長島氏が、「弊社ではロールプレイング研修が、早期離職の防止や定着につながっていると感じます」と語った。
採用難については、多くの企業が採用条件の緩和や時給引き上げ、地方移転、採用チャネルの拡充などさまざまな施策をとっているが、いずれも決定的な効果は出ず、中長期的な労働力減少が見込まれるなか、悩みは深まるばかりだ。
「ここで働いてもいいと思えるような職場環境を整え、それを映像など見える形できちんとアピールすることが重要です」と、谷口氏がまとめた。

第3回特別セミナーは、5月13日に開催予定。詳細はこちら



SBI証券の酒井智子氏による講演


「リーダーシップ」をテーマにしたパネルディスカッションの様子
左から月刊コンピューターテレフォニー編集部の矢島竜児アワード事務局の谷口 修氏DHLジャパンの河口朱美氏、SBI証券の長島佳子氏



 

2024年01月31日 18時11分 公開

2016年04月18日 09時55分 更新

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