ソフトウエアジャパン2016でCCフォーラムが成果報告

 情報処理学会は4日、東京都千代田区の一橋大学一橋講堂会議室で「ソフトウエアジャパン2016」を開催。プログラムのひとつとしてコンタクトセンター・フォーラムの成果発表が行われた。

 イー・パフォーマンス・ネクスト代表の宮崎義文氏は、これまでの同フォーラムで行われた議論を総括。コールセンターの活用モデルをこれまで検証してきた事例をもとに、経験価値提供型(2タイプ)/マーケティング型/セールス支援型/ダイレクトセール型/プロセスマネジメント型/人材育成型――に分類、解説した。さらに進化の要素として(1)現場力、(2)サービス価値、(3)経営貢献の3つを取り上げ、とくに「経営に貢献できないセンターは認められない。的確なフィードバックが必要」と強調した。

 東京海上日動コミュニケーションズの執行役員、田口 浩氏は、AI(人工知能)をはじめとしたIT活用をテーマに講演した。「人工知能の活用で自動化できる範囲が拡大すると同時に、オペレータの仕事は変化する。より高度で難易度の高い対応が求められるのでは」と推測。チャットをはじめとした新しいチャネル活用の可能性の高さにも言及した。 今後のセンター運営の最大の課題として「オペレータの確保」を挙げ、「コンタクトセンターの品質低下を防ぐ手段のひとつとして人工知能が考えられる」と指摘。具体的な活用モデルとして支援ツール/FAQやバーチャルオペレータ/テキストチャットでも無人対応/音声認識・合成と組み合わせた無人対応を挙げ、それぞれの特徴を整理した。

 次にこころみの社長、神山晃男氏が登壇、同社が提供している高齢者の見守りサービス「つながりプラス」の説明を通じて“コミュニケーションの付加価値”の強調した。 つながりプラスは、高齢者に対する訪問と電話サービス。家族に対してレポートするもので、会話を通じて日常生活を活性化できた事例を紹介した。「数多くある安否確認サービスではなく、自立期間を伸ばすサービス。さまざまなプロフェッショナルの力を借りて“聞き上手”になるための教育を実施し、サービスを提供している」(神山社長)。オペレーションはクラウドシステムを活用して在宅で実施、全国約70名体制で提供中だ。現在、テキストマイニング・システムも活用しながら会話データを分析。さらに充実したサービス提供につなげる方針だ。

 最後は、登壇者によるパネルディスカッションを実施。コンタクトセンターの将来像と経営貢献のあり方について経験に基づいた議論が展開された。
 
消費者の声研究所代表取締役の増田由美子氏は、「共感しながらの判断や柔軟な対応は、AIでは当分実現できない。人が対応すべき領域がゼロになることはないでしょう」と示唆すると、田口氏は、「“答えがあるもの”は、ほとんどAIに置き換えられていくかもしれません。これに伴い、コンタクトセンターの役割は、問い合わせに答えるだけではなく、カスタマーサービス全体を設計する部門に進化していくべきだと思います」と話した。
 聴講者から、「AIはコールセンターをアピールするきっかけになるのでは」という質問が出ると、「そのためには、コールセンターも経営者もAIに対する理解を深める必要がある」と田口氏が返すなど、活発なやり取りもあった。

2024年01月31日 18時11分 公開

2016年02月08日 16時42分 更新

その他の新着記事

  • スーパーバナー(リンク1)

購読のご案内

月刊コールセンタージャパン

定期購読お申込み バックナンバー購入