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日本のサクセス組織が取るべき一手 「顧客理解」と「属人化の解消」

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日本のサクセス組織が取るべき一手
「顧客理解」と「属人化の解消」

カスタマーサクセスの概念が誕生して約10年が経過した。歴史はまだ浅く、「顧客の成功」の実現にむけてさまざまな施策が模索されている。ゲインサイトの和久井かおり氏は、日本における現状について「お客様の状況が見えないことと、属人化された運用に課題がある」と指摘する。米国でその市場をつくってきたとも言われるゲインサイトにツールの具体的な利用法を聞いた。

 米国で「カスタマーサクセス」関連市場を牽引してきたとされる存在が、ゲインサイトだ。2022年、ジャパン・クラウド・コンピューティングとのパートナーシップ締結を発表し、日本およびアジアパシフィックへ本格参入した。大手SaaS企業のカスタマーサクセスを経てゲインサイト カスタマーサクセスディレクターに就任した和久井かおり氏は、「日本のカスタマーサクセス導入企業は、まだ何を見て、どのような施策を打てばよいかわかっていない企業が大半」と推察する。

国内サクセスの主な課題は
状況把握と属人化解消

 一口に「顧客に成功体験を届ける」と言ってもその実現には膨大なアプローチ・施策が必要だ。日本のカスタマーサクセスの現況を鑑みて和久井氏が「はじめに着手すべき」と絞り込んだのが、(1)顧客の状況をタイムリーに把握すること、(2)属人化の解消──の2点だ。同社が提供するサクセスツール「Gainsight CS」の機能は多岐にわたるが、この2つがカスタマーサクセス導入初期に必要な機能だという。

 (1)については、たとえば、「3カ月後に契約更新があるクライアントのリスト」を即座に提示できるサクセス担当者は、どのくらい存在するだろうか。同社のソリューションでは画像1のように一覧で、社名、ARR、ステージ(利用状況)、更新年月日、ヘルススコアが確認できる。これを今、どの企業にどのような対策をとるべきか見定めることが可能だ。

画像1:顧客別に更新日、ARRなどが一覧できる「マイカスタマーヘルス」
画像1:顧客別に更新日、ARRなどが一覧できる「マイカスタマーヘルス」(※画像をクリックして拡大できます)

 これをビジュアルとして表現したのが画像2「更新リスク」だ。横軸が更新までの日数、縦軸がヘルススコア、丸の大きさは契約額をあらわす。ここで「どの企業が更新が近いのか」「企業別のヘルススコア状況」「契約更新可否が売上におよぼす影響(契約金額)」がひとめでわかる。このページを経営陣や営業部門と共有することで、どの企業に優先的にアプローチするべきかの判断をつけることができる。

画像2:縦横軸、円の大きさで顧客の状態をビジュアル化した「更新リスク」
画像2:縦横軸、円の大きさで顧客の状態をビジュアル化した「更新リスク」(※画像をクリックして拡大できます)

属人化解消を自動化で実現する
ベストプラクティスのマニュアル化

 (2)の属人化解消の一翼を担う機能が画像3のCTA(Call to Action)だ。過去の事例から“成功パターン”やアラートを設定しておくと、顧客の動きやステージ変化ごとに検出、アラートを通知。検知内容別にとるべき対応が一覧で表示される。とくに、複数の対応プロセスがあるものは、チェックしながら順にすすめることができる。顧客成功のベストプラクティスを、誰もが同じレベルで行うことを目指したものだ。

画像3:最適なタイミングでとるべき施策がわかる「CTA(Call to Action)」
画像3:最適なタイミングでとるべき施策がわかる「CTA(Call to Action)」(※画像をクリックして拡大できます)

 また、これらの設定をはじめ、さまざまなデジタルを活用した施策などもすべて画像4のようなノーコードの画面で、専門知識なく簡単に設定することができる。「専門知識が不足していても、ビジュアルでプロセスを理解できることが重要なポイントです。これにより、ベストプラクティスをナレッジ化でき、高いレベルでの顧客体験を提供することが可能になります」(和久井氏)。現状、英語表記で提供を行っている同ソリューションだが、近く日本語版のリリースを予定している。同社はこのソリューションにより成功する顧客数を今後3年間で40〜50社支援することを目標に掲げている。

画像4:ノーコードで誰もが簡単に設定できる「ジャーニーオーケストレーター」
画像4:ノーコードで誰もが簡単に設定できる「ジャーニーオーケストレーター」(※画像をクリックして拡大できます)
 

2024年01月31日 18時11分 公開

2023年01月20日 00時00分 更新

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