2024年5月21日に開催した「Customer Success Day2024春」で聴講者から寄せられたQで、セッション中に回答しきれなかったものについて
基調対談で登壇いただいたサクセスラボの弘子ラザヴィ氏およびシスコシステムズの小泉雅人氏にご回答いただきました。
Q ツールを導入した経緯がトップダウンだった場合に多いのですが、顧客が忙しいので導入に前向きではない場合(動いてくれない場合)どのようなアプローチをすればいいでしょうか。
弘子ラザヴィ ツール導入に顧客が前向きでない場合、一般的に、顧客の時間を節約する、売上向上につながるなど、顧客にとっての具体的な利点を強調し、ツールがもたらす効率化や成果を示す短いデモを提供することは有効なアプローチです。また、他社の成功事例を共有したり、まず試してみて小さな成果を出すことで導入の価値を実感してもらうことも有効です。
Q 顧客にビジョンがない場合が多いです。手段が目的になっていることも多いです。この場合こちらでビジョンを示してあげてもいいのでしょうか。それとも、これはこちらが理解してあげられていない状態なのでしょうか。
弘子ラザヴィ 顧客にビジョンがない場合は、考える機会がなかった、ないしは考えてみたけどアイディアが浮かあなかったという理由が多いです。その場合、顧客と一緒に検討する機会や場を設けたり、他社の具体的なビジョンや成功例を示したりすることで、顧客がビジョンを描くことをサポートすると有効です。またそうすることで、こちらも顧客のニーズや課題を深く理解することが可能となり、それに基づいて提案を行うことで、信頼関係を築くことができます。
Q 当社のサービスは、明確なゴールがなく「なんとなく」導入されてしまうこともあります(予算余ってました、とか。)。その場合はどのようにCXとして動くべきでしょうか。顧客と明確なゴールを話して決めるべきでしょうか。
弘子ラザヴィ 明確なゴールがない顧客に対しては、なるべく初期の段階でミーティングを行い、彼らのビジネス目標や課題をヒアリングし、それに基づいて具体的なゴールを一緒に設定していくことが有効です。そうすることで、予算やリソースの無駄を防ぎ、明確な価値を提供するための計画を立てることができます。もちろん、全顧客に対してこのような労力を等しく割くことはできないため、社内で優先順位の考え方・方針を明確にした上で、優先順位の高い対象を決める必要があります。
Q 営業部門からカスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いを聞かれた際の回答をおしえていただきたいです。
弘子ラザヴィ カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いは、一般的に「目的」と「期間」の点から説明すると理解してもらいやすいです。カスタマーサクセスの目的は、顧客が製品やサービスを最大限に活用し、成功するための支援を行うことです。また、そうした活動はお客様との良好な関係が続く限り(長いほどよい)継続します。一方、カスタマーサポートの目的は、個々の顧客が直面する具体的な問題や質問に対して対応し問題や疑問を解消することです。そうした活動は、問題発生と共に開始し、問題解決と共に終了する、つまり一定の有限期間(短いほど良い)です。
Q ウェルカムメールは効果ありますか?
弘子ラザヴィ ウェルカムメールは非常に効果的です。ウェルカムメールを送付するタイミングは、顧客がプロダクトやサービスの利用(購入)を決めたタイミングの直後、つまり最も気持ちが上がっているタイミングです。絶好の機会ともいえるタイミングを有効活用しない手はありません。顧客に対して感謝の意を伝え、初期のサポートやリソースへのアクセスを案内することで、ポジティブな第一印象を与え、良好な関係構築の第一歩を踏み出せるような効果的なウェルカムメールを送付しましょう。
Q カスタマーサクセスは、B to Bのクラウドサービス事業者のみならず、昨今では小売業などのB to C事業においても使われるようになってきました。二人が考えるB to Cでのカスタマーサクセスの定義や考え方について教えてください。
小泉雅人 B to C は究極のスケールするカスタマーサクセスだと考えています。スケールCSの成熟度の後期でいう PLG やデータを駆使したカスタマーサクセスを当たり前に行うのか BtoC のカスタマーサクセスだと思っております。
2024年05月22日 13時55分 公開
2024年05月22日 13時55分 更新