本誌記事 ケーススタディ Helpfeel

Helpfeel

問い合わせ削減による経営効果をもたらす
手厚い「伴走」体制で解約率1%以下を実現

カスタマーサクセス部門の役割は長期間、顧客(クライアント)に導入した製品を使い続けてもらう支援をすることだ。検索型FAQシステム「Helpfeel」を提供するHelpfeelの同部門は、製品の特性を生かした「もう一歩踏み込んだ活用」のための支援を担う。導入目的をしっかりと把握するキックオフにはじまり、月例会議では詳細な分析に基づいたFAQの改善を提案。顧客からは高い評価を得ている。

カスタマーサクセス部 森原大貴 部長
カスタマーサクセス部 森原大貴 部長

 450を超えるサイトが利用する、Helpfeelの検索型FAQシステム「Helpfeel」。導入の目的は、「自己解決が可能な問い合わせの削減」が大半だ。

 その達成に向け、約30名のカスタマーサクセス部が日々、顧客を支援している。同部門は2グループで構成されている。顧客の伴走支援を行う「CSM(カスタマーサクセスマネジメント)グループ」が27名。そして、タッチポイントの設計などを担う「OPS(オペレーション)グループ」が3名の体制となっている。

ハイタッチが基本の
手厚いコミュニケーション

 同社のカスタマーサクセスの定義について、カスタマーサクセス部の森原大貴部長は、「実現したいゴールや目標をしっかりと把握し、達成に向けてコミットすること。さらに、その先にある事業や、経営課題を理解し、共に解決に向けたご提案ができるパートナーになることです」と説明する。

 支援体制は、ハイタッチ型の手厚いコミュニケーションが中心となる。

 「(Helpfeelは)導入すれば終わり、というプロダクトではありません。問い合わせ内容や、FAQの利用といった現状の把握が欠かせない。こうしたエンドユーザーの行動を分析してFAQを構築・更新し、改善することで、さらに問い合わせが減り、より効果を創出できます」と森原氏は強調する。

 ただし、「FAQの詳細なエンドユーザーの行動分析は、お客様企業の共通の悩みです。そこで当社が構築したFAQのご利用状況を洗い出し、月例会議で状況から作成した分析レポートを提示したうえで改善策を提案します。検索に強いと自負するHelpfeelだからこそ、検索ワードの変化に応じて、FAQを進化させるといった支援が可能になります。ですから、結果的にハイタッチを重視することになります」(森原氏)。

初期の視点合わせで
ボタンの掛け違いをなくす

 カスタマーサクセス部の業務の全体像をにまとめる。

図 業務の全体像
図 業務の全体像

 製品を運用し始めるキックオフから顧客との伴走がはじまるが、その際、導入目的や目指すゴールの確認、そして、認識合わせを重視している。

 KPIの設定では、導入目的やゴールに合わせて提案。初期段階で、支援内容も具体的に決定している。

 その後、オンボーディングのフェーズに移っていく。

 「キックオフやオンボーディングは、プロダクトの継続率の向上のためにも重要なフェーズ。ここで導入の目的や、お客様の目指すゴールを見誤れば、早期の解約につながりかねません。プロダクトに自信を持っているからこそ、使いこなしていただきたい思いもあります。ボタンの掛け違いが起こらないためにも、じっくりとお客様に向き合います」(森原氏)

 こうした取り組みから、解約率は1%以下を維持している。

 自社のKPIには、「既存顧客からの新規の売上げ獲得」がある。

 例としては、顧客がオプション機能を追加で導入した、他部門を紹介してもらい導入につながったなどがある。

 森原氏は、「アップ/クロスセルの要素を持っていますが、必要性を感じてもらえる提案は、Helpfeelへの満足度があってこそだと考えています。お客様のペインポイントを深掘りし、効果を実感していただけているからこそ、オプション機能を使ってみたい。あるいは、自分たちと同じような課題を抱える部署にも、プロダクトを勧めたいと思っていただけるはず」と解説する。

 肝心のエンドユーザー満足度の調査方法については、自己解決による問い合わせの抑制が目的であれば、「回答到達率」を設け、目的の記事に到達できたかを測定する。導入企業に対しては、製品の更新の前にアンケートを実施し、導入効果やカスタマーサクセスの支援の度合いを聞いている。

 今後の方針について、森原氏は「日本一のカスタマーサクセスを目指す」と強調する。

 その真意を、「良いプロダクトでも使ってもらえなければ意味がない。そして、いかにプロダクトを社会実装できるかは全社的なミッション」と語る。「“意図予測検索”という当社独自のテクノロジーと、自己解決を実現する方法論から、改善のフィードバックのループを一緒に実現することが、我々カスタマーサクセスの最大の強みです」(森原氏)。

 そのためには、メンバーの素質にもこだわっている。分析を強みとする伴走のため、「顧客視点を常に持ち、真の課題に向き合い、解決に向けた提案ができる」(森原氏)メンバーの採用を目指す。

(月刊「コールセンタージャパン」2024年12月号 掲載)

2024年11月20日 00時00分 公開

2024年11月20日 00時00分 更新

おすすめ記事

その他の新着記事