
Part.1 <総論>
コンタクトセンターの価値を経営に示すには、運営実績だけでなく、問い合わせ対応が顧客の安心や信頼、継続利用にどう影響したのか、さらに、顧客の声を起点とした商品・サービスの改善など、事業にどう貢献したかまで可視化する必要がある。効率化によるコスト削減だけでなく、顧客や事業にもたらす変化まで捉えることが重要だ。識者の知見と企業事例から、事業成果につながる指標の再設計と、投資効果を含めた価値の示し方を探る。
コンタクトセンターの価値を、経営にどう示すか。応答率やAHT、CSATなど測れる数字は多いが、指標を並べるだけでは、顧客や事業にもたらした成果までは見えにくい。必要なのは、日々の運営実績を、顧客の安心や信頼、継続利用、商品・サービスの改善といった変化に結びつけることだ。そのうえで、投資効果を含め、経営が次の判断に使える形にすることが求められる。
本稿では、KPIを単体ではなく関係で読み解く方法、応対の「その後」を顧客単位で追う視点、部門の縦割りを越えたVOC活用、次の投資につなげるROIの捉え方──。事業成果につながる指標の再設計を探る。

Part.2 <ケーススタディ>
コンタクトセンターの貢献を可視化するには、顧客の利用継続による売り上げ拡大、CX向上を起点としたコスト削減、VOCによる品質・リスク管理、全社的な生産性向上といった数値で成果を示す必要がある。顧客接点で得られるデータや声を事業KPIへ結びつけ、経営貢献を可視化する5社の取り組みから、コンタクトセンターが担うべき役割と価値の示し方を探る。
コンタクトセンターの貢献を可視化するには、顧客の利用継続による売り上げ拡大、CX向上を起点としたコスト削減、VOCによる品質・リスク管理、全社的な生産性向上といった数値で成果を示す必要がある。重要なのは、センター内のKPIと、その先にある顧客行動や事業KPIとの因果を設計することだ。顧客接点で得られるデータや声を事業成果へ結びつける5社の取り組みから、コンタクトセンターが担うべき役割と価値の示し方を探る。
顧客・オペレータ・経営──
「3方よし」が投資判断の基準
SBI証券が経営貢献として重視するのは、顧客体験を高めた結果として、コール数や通信費、オペレータの負荷まで改善するという因果関係だ。IT投資も顧客、オペレータ、経営の3軸で判断する。CXを起点に、効率化から収益貢献までをつなぐ設計を描く。
店舗電話の6割をセンターで完結
ネクストアクションはVOCで売上創出
カインズは、コスト削減だけではセンターへの投資価値を広げにくいとみて、VOCを起点に売り上げを生む事例づくりを模索している。顧客の声をそのまま渡さず、AIで類似ニーズや他社商品を調べ、需要規模まで推計したうえで、商品部門が判断できる情報にして渡す。
「使ってもらう」が売り上げを生む
“利用継続率”で示す経営貢献
アイリスは、効率指標ではなく「利用継続率」や「問い合わせ完了率」をKPIに据える。AI判定のたびに料金が発生する従量課金型で、継続利用が売り上げを左右するためだ。この因果をダッシュボードで経営陣に示し、投資判断のベースにもしている。
「1件の声」を次の商品に活かす
VOCをもとに品質基準をアップデート
バンダイの相談センターは、プロダクトマネジメント部に所属し、品質管理の一翼を担う。年間約20万件の問い合わせを150超の分類コードで管理し、安全性に関わる声を品質基準の見直しや商品開発に反映する。売り上げへの直接的な寄与にとどまらない経営貢献の形だ。
「満足度」で終わらせないCX戦略
期待×顧客行動から収益貢献を可視化
大同生命保険は2025年度、「CX戦略室」を新設した。狙いは、顧客の声を起点にコールセンターやデジタル、対面営業などの接点をつなぎ、全社のCXを高めることにある。今後は、契約継続や追加契約などの行動まで検証し、CXと収益の因果を示す方針だ。
会員限定2026年10月20日 00時00分 公開
2026年10月20日 00時00分 更新
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