セールスフォース・ジャパン、『Agentforce2.0』のアップデート内容を発表

セールスフォース・ジャパン(東京都千代田区、小出伸一代表取締役会長 兼 社長)は、自律型AIエージェント・スイートの最新バージョン『Agentforce2.0』のアップデート内容を発表した。

冒頭、専務執行役員 製品統括本部 統括本部長の三戸 篤氏は、「Agentforceは、制限のない“デジタル労働力”を生み出プラットフォームと位置づけています。当社が25年以上にわたって提供してきたSalesforce Platform上で、人とAIエージェントが協力して業務を遂行してほしい」と強調。国内の労働力不足問題を解決する手段として提供し、企業の成長を支援する方針を示した。

 

 
三戸氏
セールスフォース・ジャパン 専務執行役員 製品統括本部
統括本部長の三戸 篤氏

 

Agentforceは、「注文管理」など業務の種別を表すトピック、「返品処理」などの実行するアクション、具体的な指示を組み合わせたAIエージェントを作成できるもの。顧客の問い合わせ内容から、どのアクションを選択すればいいのかを自律的に判断し、指示に基づいて実行する。

具体的なアップデート内容は、「AIエージェントスキルライブラリ」「推論とデータ検索の強化」「Agentforce in Slack」の3点。製品統括本部 プロダクトマネジメント&マーケティング本部 シニアマネージャーの前野秀彰氏は、「AIエージェントがいかにより多くのことをできるようにできるのかという観点でのアップデートを実施しました」と説明する。
 

前野氏
同 製品統括本部 プロダクトマネジメント&マーケティング本部
シニアマネージャーの前野秀彰氏
仕組み
『Agentforce』の仕組み

 

AIエージェントスキルライブラリは、事前作成済のスキル(トピック、アクション、指示、チャネルのセット)を用いてAIエージェントを作成できる。カスタマーサービス、セールス、マーケティング、分析(Tableu)など、さまざまなスキルが用意されており、利用することでスムーズな運用開始が可能だ。また、生成AIを活用し、自然言語による指示でAIエージェントを自動生成する「Natural language creation」や、AIエージェントの動作をテストできる「テスティングセンター」を実装。さらに、さまざまな外部システムと連携したアクションが可能な「MuleSoft API Catalog」「「MuleSoft Topic Center」を2025年2月に提供開始予定。あらゆる業務に最適なAIエージェントを運用できる環境を整備した。

スキルライブラリ
AIエージェントスキルライブラリのイメージ

 

推論とデータ検索の強化は、AIエージェントの精度を高めるとともに、従来のRAG(検索拡張生成)では対応できなかった複雑な問い合わせやあいまいな問い合わせへの対応の実現を目指して実施。今回の強化により、PDFなどのドキュメント検索の精度が向上した。前野氏によると「メタデータで強化したインデックスによる高度なRAG、あいまいさを排除したクエリを生成する高度な検索レトリーバー、引用元の記載の3点によって、より多くのことを簡単かつ正確に実行できるようになります」という。

 

推論強化
推論とデータ検索の強化

 

Agentforce in Slackは、Slack上でAIエージェントを利用できる。Slack上のDMやチャンネル、canvasに蓄積された組織のナレッジや連携しているアプリケーションのデータを活用し、ユーザーの問い合わせに回答、あるいは適切なアクションを行う。
また、「経費精算」「ITヘルプ」など、スキル(役割)ごとのAIエージェントをAgentforceハブで一覧表示。タスクに応じて、選択できる。同製品統括本部 プロダクトマネジメント&マーケティング本部 マネージャーの鈴木晶太氏は、「いまやSlackは、ビジネスにおける基本ツールと言えます。Agentforceを配置することで、あらゆる部門の業務の生産性向上が期待できます」と強調する。


 

demo
同 製品統括本部 プロダクトマネジメント&マーケティング本部
マネージャーの鈴木晶太氏

 

SlackでのAgentforce
Agentforce in Slackの活用イメージ


アップデートの発表に続いて、Agentforce導入事例として、パートナー企業でもある富士通が登壇。導入効果や今後の展望を示した。同社は、2024年10月に国内パイロットプログラムに参画。2025年1月、同社からSalesforceライセンスを購入した顧客向けの1次サポート窓口「富士通Salesforceサポートデスク」で本番運用を開始した。

 

富士通事例
富士通 Global Business Applications事業本部 Salesforce事業部
シニアディレクターの山﨑洋輔氏


定常的な問い合わせや、バージョンアップ、障害などの一時的に増加する問い合わせをAgentforceで作成したAIエージェントに誘導。全体の問い合わせの15%の自動化を実現した。また、オペレータの応対中の情報検索にもAIエージェントを活用したことで、状況把握の工数を削減した。富士通 Global Business Applications事業本部 Salesforce事業部 シニアディレクターの山﨑洋輔氏は、「AIと人の協働で、顧客満足度を向上させていくことを考えている」と言い切る。2カ月という短期で導入した際の気づきとして、「業務選定」「実装/評価」「運用での改善」の3点を挙げ、同社による「当社のノウハウを生かして、Agentforce活用を支援していきたい」と展望した。

 Agentforce2.0のリリース完全版は、2025年2月に提供開始予定。なお、日本での提供開始時期は未定。
 

 

2025年01月30日 11時00分 公開

2025年01月30日 11時00分 更新