2022年10月号 <特集>

特集扉

ピーク対応に異変あり!
「採れない時代」のHRM

Part.1 <テクニック>

高まる「つながらない」ことへの不満
接続品質向上の『根本治療』と『対症療法』

コロナ禍をきっかけに、企業のWebサイトなどで「電話がつながりにくくなっています」という案内が目立つようになった。たしかに、感染症の流行や自然災害などによる出勤への支障は、つながりやすさに影響する。しかし、コールセンターは電話がつながってはじめて、その価値が認められる職場だ。どのような状況であっても、つながりやすい状態を保つための『根本治療』と『対症療法』を考察する。

 どれだけオペレータの対応が素晴らしくとも、エフォートレスなサービスを設計しようとも、電話がつながらないコールセンターはCS(顧客満足)を著しく損ねる。編集部が行った「消費者実態調査(2021年6月実施、有効回答数800)」で、「センターに対して不満を感じた理由」を聞いた結果、ダントツで多いのが「電話はつながったが、オペレータが出るまでの待ち時間が長い」だ(「コールセンター白書2021」)。

 「電話がつながらない」というネガティブなCX(顧客体験)を、限られたリソースで極力減らす取り組みは、センター運営において永遠の「宿題」といえる。

 2020年のコロナ禍以降、呼量が急増したり、ソーシャルディスタンスを保つため稼働席数を減らすなどの影響でつながりにくい窓口が増えた。Webサイトなどでそれをあらかじめ伝える企業も多く、消費者側にも「この状況では仕方ない」と諦める空気があったのも事実だ。しかし、“この状況”はすでに2年以上も続いている。いつまでも「つながりにくい状態」が許されるわけではない。

 「つながらないセンター」の解消策として、根本治療と対症療法を検証する()。

図 「つながらない」を解消する根本治療と対症療法

図 「つながらない」を解消する根本治療と対症療法

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Part.2 <座談会>

WFM最適化からコールバック予約まで
異業種3社が実践するピークマネジメント

業務業態によって呼量増の理由は異なる。呼量が増える原因を分析し、増減に合わせた要員配置でピークを乗り切る。それが、コールセンター・マネジメントの基本だ。とはいえ、予想外の呼量増や、コロナ禍での感染のピークに併せると、どうしても人員を確保できない状況もある。長期的・短期的、両面からどのような取り組みで乗り切るのか。3社が実践するピーク対応を検証する。

出席者(順不同)

松本 裕一郎 氏

松本 裕一郎 氏
ニッセン
セールス&コミュニケーション本部
カスタマーサービス部 部長

長谷 達郎 氏

長谷 達郎 氏
DHLジャパン
カスタマーサービス本部
カスタマーコンタクトセンター センター長

藤原 幸平 氏

藤原 幸平 氏
セブン銀行
お客さまサービス部 主任調査役

──現時点での呼量変動の傾向をお聞かせください。

松本 当社では年8回、カタログの無料配布を実施していますが、配布直後の2週間に受注が増加する傾向にあります。営業時間は9時から21時で、週単位では月曜日が最も問い合わせが多く、週末にかけて入電数が落ち着いていきます。

長谷 輸送業務のため、年末年始やゴールデンウイークなど日本の長期休暇前後や、旧正月など中国の長期休暇に併せて問い合わせがピークを迎えます。ただ、新型コロナ感染拡大やロシア・ウクライナ危機といった不安定な国際情勢に加え、国際的なインターネット通販の市場拡大のため、数カ月先の呼量変動を予測しづらい状況です。直近では、上海市の長期間のロックダウン前後で、中国国内で一定期間停滞していた入電が一気に増加したこともありました。総じてコロナ禍以降、入電傾向が大きく変わりつつあります。

藤原 キャンペーンの直後や、提出期限のある手続きを依頼するメール、DMの発送直後に入電が増加する傾向があります。また、日・祝日が休業日なので、ニッセン様同様、休日明けにピークが来ます。営業時間は9時から18時で、終了時刻1時間前にも駆け込みの問い合わせが集中する傾向があります。

続きは本誌をご覧ください

 

2024年01月31日 18時11分 公開

2022年09月20日 00時00分 更新

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