インタビュー
インサイドセールスといっても実情は単なるアポ取りになっているという企業も多い。創業20年の実績を持つエッジコネクションは当初から一般的なテレマーケティング会社と一線を画すアプローチで高評を得ていた。大村社長に「本物のインサイドセールス人材の採用と育成」を聞いた。

──インサイドセールスとテレアポの違いについて、どう捉えていますか。前者は求人案件も増えて、BPO市場でも訴求するベンダーは多いようですが、「従来のテレアポと何が違うのか」という業務や案件も多いと感じます。
大村 まず、私も学生ベンチャーを経験後、金融機関でテレマ業務に従事した経験があります。2007年に創業した際も、前職での電話による資産運用コンサルタントとしての経験を活かし、テレマーケティング事業からスタートしました。現在はインサイドセールスを中心に、営業戦略コンサルティング、人事評価制度構築など幅広いサービスを展開しています。これらの経験を踏まえて言うと、インサイドセールスは単なるアポ取りではなく、フィールドのセールス(営業マン)をアシストする人材であり、フィールドセールスを効率的に動かすという司令塔的な役割を担う存在と捉えています。本来は極めて優秀な人材が担当すべき仕事です。
──とくにインサイドセールスに特化したBPOベンダーとして成功するには、いかに優秀な人材を採用、あるいは育成するかにかかっているということですね。
大村 問題は、日本の商習慣だと、優秀な人材はフィールドの営業マンに配置されやすいこと。インサイドセールスに適切な人材を定着させにくいのが現状です。また内製化すると、常に同じ商材を扱うのでマンネリ化が起こりやすく、キャリアアップが難しくなるという問題もあります。
──では、実施している人材採用と育成について、ポイントを教えてください。離職率がかなり低いと聞いています。
大村 まず採用は厳選しています。学力、適性など厳密に試験を実施し、合格率は20%くらい。採用コストは上がりますが、それは必要不可欠な投資と捉えています。業務開始後は、さまざまなクライアントの仕事をなるべく広く担当してもらいます。具体的にはチーム単位で1日4、5社を担当するなど、マンネリ化しないような仕事の進め方は心がけています。離職率を低減させている取り組みはいくつかあるのですが、まずはお互いの業務をカバーしあうルールの策定。お子さんを持つ社員も多いので、突発的な休みも発生しがちなのですが、誰かの休みをカバーすると、インセンティブが発生するルールを設けました。「休みにくい」を軽減しつつ、能動的に困っている仲間を助ける職場作りを志向しています。もうひとつは、自分で工夫できる環境づくり。全社員にコールスクリプト作成スキルを教えてから着台させています。とくに、商材の差別化ポイントを意識することを徹底的に教育しています。そのため、アポが取れないときには例えば「1、2、3のセールスポイントのうち、2が刺さっていない」というようにPDCAを回しながら、各々で改良したり、ほかのメンバーに共有し意見をもらうケースも多いのです。
──日本の営業マンは、どうしても個人プレーに走りやすいイメージがあります。
大村 プロジェクトごとに目標の達成、その結果発生したリピートオーダーなどにボーナスを支給するのですが、ポイントはあくまで「チーム」ということ。なので、自分で開発したスクリプトが良い結果を生むと、それをチームメンバーに自然に共有する環境ができていることも、離職低減につながっていると思います。
また、課題があればチームミーティングを実施しています。ほかにも、週に1回のマーケティング勉強会(好事例プロジェクトや課題のあるプロジェクトの要因分析)や、情報セキュリティや生成AIといった最新知識をキャッチアップする勉強会、営業担当向けの営業ノウハウの勉強会を実施しています。こういった勉強会で得た知識がスクリプトやトークの厚みを作り、パフォーマンスを高めています。
──人事評価のポイントを教えてください。
大村 定量評価と定性評価をいかにうまく切り分けられるかだと考えています。具体的には、業務上の成果は定量で評価し、ボーナスに反映させます。一方、人間的成長は定性で評価し、基本給に反映させています。このやり方だと「営業の成績が一時的に良かった人の基本給が上がったけど、その後、全然成果を出せなくなった」といった、いわゆるラッキーパンチによる昇給ミスを防げます。瞬間的な売り上げの増加はボーナスで報いて、人として成長したら基本給を上げる。また、責任が増して役職者になれば給料も上がります。こうすることで「あの人はなぜ給料が高いのか」といった不満が生まれにくくなります。
──定性評価はどのように行うのですか。
大村 人間的成長とは、基本的には会社の基本理念や行動指針、バリューに合致した人間になっているかどうかを見ています。つまり、会社が求める人物像にいかに近づいているかということです。これを四半期や半期ごとに査定し、昇給させるという形です。具体的には、まず基本理念をわかりやすい言い方に翻訳することが必要です。そのうえで、絶対評価ではなく、あくまで相対評価するのがポイント。同じ部署の中で、各評価指標に則った立ち居振る舞いを誰が1番できているか、2番目は誰かというようにランキングをつけます。
──インサイドセールスを担う人材の理想像とは。
大村 まずメンバーを束ねるリーダーシップがあること。次に、予定通りリストやアポイントを消化する計画立案力があること。そして、進捗を見ながらフィールドセールスやクライアントに改善提案する戦略立案スキルがあること。これらの能力を持った人材が現場のリーダーにいる会社は強いと思います。
(月刊「コールセンタージャパン」2025年10月号 掲載)
2025年09月20日 00時00分 公開
2025年09月20日 00時00分 更新