SALESCORE
営業活動を“可視化”し、目標達成に向けて行動を変革するセールスイネーブルメントSaaS「SALESCORE」。そのカスタマーサクセス(CS)チームは、ハイタッチ型支援を強みとする。オンボーディング段階で、顧客企業がプロダクトを活用して“実現したい姿”を具体化。積極的にクライアントの会議などにも参加する。サポート担当者を含む、計5名の少数精鋭で伴走支援を徹底する。
SALESCOREは、営業支援に特化したSaaSとコンサルティングを展開する。SFA/CRMシステムと連携。営業活動を“見える化”し、現場の日々の意思決定を支えるダッシュボードを中心とするツール『SALESCORE』を提供している。
CSチームは、クライアント業務における改善のPDCAを支援する。チームの発足当初、営業担当者が導入支援も行っていた。しかし、支援を継続するには、技術面のサポートのみならず、クライアント企業の営業プロセスに関する高度な理解も必要だ。支援の品質を一定水準以上に保つ必要性が高まったため、専任体制を敷いた。
SaaS事業部/カスタマーサクセス責任者の中野尚輝氏は、「CS担当者には、プロダクトの知識はもちろん、オンボーディング、アダプションへと移行していくための提案といったビジネススキルが不可欠。SALESCOREは、セールスイネーブルメント支援を強みにしているため、営業プロセスに関する全方位的な理解がないと担当者としての対応は難しい」と語る。
現在、中野氏を含む5名がCS業務を遂行。4名がハイタッチでのサクセス業務を担当し、1名はテクニカルサポート専任だ。導入社数は増加傾向にあるため、サポート専任者は増員を図る計画だという。
CSチームの支援は図の通りと、単なる利用支援にとどまらない。
オンボーディングでは、顧客企業がプロダクトを活用して“実現したい姿”を具体化。それに向けた利用方法を、現場の会議に同席し、共に設計する。クライアントのミーティングにCS担当者が参加し、実際の運用実態やボトルネックを把握する。そのうえで、適切なダッシュボードの構成、運用ステップを提案する。
同プロダクトは、営業組織向けのダッシュボードツールとデータ更新機能を兼ね備えている。SFA/CRMシステムと1時間単位で自動連携し、入力・更新されたデータは即座に反映。現場は常に最新の情報で会話ができる。営業現場の行動を日次で可視化・評価し、改善を促すこのプロダクトの導入効果を最大化するには、営業メンバーの習慣変容を促す提案力が必要だ。
言い換えれば、同社のCSには「プロジェクトマネジメント力」が問われる。現場の実態把握、リスク抽出、関係者の巻き込み、実装計画の調整をていねいに行い、スムーズな導入と定着を後押しする。そして、“3カ月以内でユーザーが月間にログインする日数の割合50%”をオンボーディング完了の目安に設定し、可視化されたデータに基づき進捗を管理する。
成果指標として複数のKPIを設定。「定例ミーティング実施率」「4カ月以内のエクスパンション商談数」などだ。中長期的には「チャーン金額(契約金額の減少)」や「NRR(Net Revenue Retention)」を重視し、顧客が継続的に価値を感じて利用を続けるかを計測。
チャーン防止に向けた取り組みも具体的だ。利用頻度の低下を検知するため、ログイン率や目標設定状況などをプロダクト上で可視化。一定期間に、連続して低下している顧客には、個別にフォローする。また、3カ月ごとのQBR(クォータリービジネスレビュー)では、NPS(ネット・プロモーター・スコア)を活用し、定性的な評価を収集。その点数が低ければ原因の掘り下げと、改善提案を迅速に行い、離脱リスクを未然に防ぐ。
CSチームが目指すのは、「導入企業の行動が変容し、売り上げや生産性の向上につながること」。プロダクトが使われているだけでは不十分であり、営業組織の日常が変わり、成果が出て初めて“サクセス”と呼べると考えている。そのため、人員が増えても支援の質を保持するべく、フェーズごとの対応プロセスや、判断基準の標準化も進めている。
今後は、エンタープライズ企業の獲得を目指し、CS組織の強化にさらに注力する。受注前からCSが関与し、プロダクト導入のゴールと体制を顧客とすり合わせる動きを開始する。「導入企業に、早期にプロダクトの価値を実感してもらい、部門、そして全社へと広げていくエクスパンションもCSの重要な役割のひとつ」(中野氏)。さらに「社内の“ハブ”として機能したい」(中野氏)考えだ。
(月刊「コールセンタージャパン」2025年6月号 掲載)
2025年05月20日 00時00分 公開
2025年05月20日 00時00分 更新