カスタマーサクセス・アワード2026検証 

教員同士の学びあいを定着力に変えるCSの取り組み コミュニティで「顧客の自走」を育てる

ベネッセコーポレーション

認定教員が実践を示し
地域の学びあいを支える

そこで重視したのが、教員が自ら活用を進める「自走化」の仕組みだ。中核となる「ミライシードDXエデュケーター」は、活用に長けた現役教員を同社が認定する制度。応募時に提出された事例などを審査し、必要に応じて面接も行う。2026年10月現在、認定教員は700名を超えている。 「他の先生が『こういうふうに使えばいいんだ』と、真似できる存在を認定したことが、CS活動の起爆剤になりました」(岡部氏)。企業が機能を説明するだけでなく、同じ学校現場に立つ教員が“実践”を示すことで、使い方を具体的に伝えている。
認定教員が自律的に活動しているのが、全国各地のコミュニティだ。オンラインに加えて地域ごとの対面開催もあり、教員同士が活用事例を持ち寄っている。運営は現役教員が中心となり、同社のCS担当者らが支える。利用者同士が学びあう場で、企業(ベネッセコーポレーション)はあくまでそれを支援する立場に徹している。
生まれた事例は、自社サイトや冊子を通じて全国の学校へ展開。さらに「ミライシードアワード」で優れた実践を表彰し、取り組みを広く紹介している。認定、交流、事例といった発信をつなぎ、次の実践者を増やすアプローチだ。
しかし、これだけで利用格差が解消できるわけではない。同社は重要なオンボーディング指標の1つとして、「一度も使ったことのない教員を減らす」ことを挙げる。教育委員会と連携し、校内で推進する立場の校長・教頭にも価値を理解してもらい、最も高いハードルとなる“最初の利用”を後押ししている。

カスタマーサクセス活動の概要
カスタマーサクセス活動の概要

活用事例を意思決定者へ
顧客の声は商品改善へ

コミュニティを軸とする活動は、事例を集めるだけでは完結しない。「こんなふうに授業が変わったというアウトカム(成果)を、しっかり教育委員会に届けることもCS活動の重要なポイントです」(一杉氏)。利用者が生んだ成果を、契約更新を判断する側に伝えるところまでが支援の範囲といえる。
同社内では、CSを中心に開発、営業、マーケティングが顧客の声を検討する。営業が得た改善要望とサポート拠点であるコールセンターに寄せられた要望も共有し、商品へのフィードバックにつなげている。現場の声を、活用支援と商品改善の両方に活かす体制だ。
BtoBのSaaSソリューションでは、ユーザー会と称するコミュニティを展開する企業もあるが、多くは企業側からの告知や事例紹介に終始しやすい。同社では、そうした通り一遍の交流の場にとどめないCSのあり方を追求している。利用者が実践を生み、仲間に広げ、その価値を意思決定者にも届ける。同社は、この循環を支えながら、活用が進まない層に働きかける。契約の継続と、学校現場での価値実現を両立する仕組みといえそうだ。

学校カンパニー 小中学校事業本部本部長の岡部 優氏(左)と同本部小中学校営業部 教育DX推進課課長の一杉元嗣氏
学校カンパニー 小中学校事業本部本部長の岡部 優氏(左)と同本部小中学校営業部 教育DX推進課課長の一杉元嗣氏

 

2026年11月05日 00時28分 公開

2026年11月05日 00時28分 更新

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