コールセンター業界のトレンド

IT技術の進化や顧客の期待の多様化・複雑化といった外的環境の変化などを受け、最近のコールセンターでは、①AI(人工知能)、②CX(カスタマー・エクスペリエンス)、③アクティブサポートといったキーワードに注目が集まっている。

 AI導入を検討するコールセンターが多い一方、「コンタクトセンターにおけるAIの適応性」をきちんと把握しているセンター管理者、経営層は少ない。いわば、想いだけの先走り傾向が強い印象がある。
 まずは、以下のようなAIの特徴をきちんと把握する事が大切だ。
■AIにはデータの共通化が必要であり、単に生データを膨大に読み込ませても機能しない
■AIは自動的に勝手に賢くなるシステムではない
■AIを機能させるには膨大な投資と人間による学習調整時間が必要である

 実際、数年にわたる機会学習と試行錯誤を通して、やっと昨年あたりから国内でも活用事例がいくつかでてきたというところだ。

 次に、CX(カスタマー・エクスペリエンス)について解説したい。
 「CS(顧客満足)ではもう遅い。これからはCXだよ!」と上司に言われ、大きく頷く部下。多くのコールセンターで見られる光景ではないだろうか。
 しかし、具体的にCSとCXの違いについてきちんと説明できる人は少ないだろう。
 CSとCXは、目的と対象が異なっている。従来のCSとは、活動の対象がコールセンター部門内の最適化におかれ、活動の目的は顧客満足の維持だ。一方、CXでの活動対象は全体最適で、コールセンターの部門内に留まらず、営業やマーケティング、物流まで含める。そして、その目的は単なる顧客満足の維持のみならず、「ロイヤルカスタマーの醸成」を含む。顧客の体感レベルも、CSでは、「あぁ、このサービス心地いいなぁ!」ぐらいだが、CXでは「WOW!」と驚くような感動を目指す。




 3つめのキーワードがオムニチャネルだ。スマホが普及し、サポートチャネルの多様化は確実に進んだ。チャットはすでに電話、メールに続く第3のチャネルとして台頭している。

 コンタクトセンターを取り巻くシステムの進化は日進月歩だ。常に最新のシステム事情や外的環境変化をキャッチする意識が必要である。

(連載「新任マネージャーのためのコールセンター運営の基礎知識」 月刊コールセンタージャパン2017年9月号掲載)

著者:五月女 尚
この著者の講座は、「コールセンター運営の基本知識とマネジメント入門講座」「 実践!KPIマネジメント・課題解決講座」です。