2018年1月号 <インタビュー>

石川 森生 氏

「単なるEC化」は企業価値を損ねる?!
カタログの強みを活かすオムニチャネル戦略

ディノス・セシール
CECO(Chief e-Commerce Officer)
EC本部EC企画部 ゼネラルマネージャー
石川 森生 氏

大手、老舗といわれる通販会社ほど、Eコマースに注力している。ディノス・セシールも、さまざまなEコマース事業を成功に導いた石川森生氏を招へいした。石川氏は、「単にEコマースにリプレースするだけでは、企業価値を下げかねない」と強調。「カタログ通販の弱点をWebで補う」という有機的連携サービスを生み出そうとしている。

Profile

石川 森生 氏(Moriu Ishikawa)

ディノス・セシール CECO(Chief e-Commerce Officer)
EC本部EC企画部 ゼネラルマネージャー

SBIホールディングスに入社。SBIナビ(現・ナビプラス)の立ち上げに参画。その後、ファッション通販サイト・マガシークでマーケティング部門の責任者としてサイトリニューアルや改善のPDCAを確立。広告CRM最適化、海外の最先端ソリューション導入を推進。タイセイのWeb部門を分社化した「TUKURU」を創業。2016年2月より現職。

──Eコマース一筋の経歴から、カタログやTVを主力とした通販会社に転職されました。期待されているミッションを教えてください。

石川 最初は、「カタログからWebへのシフトでコスト効率を向上する」という、ありがちな動機で(ディノス・セシールに)呼ばれたと認識していました。実際にEコマースサイトはありますが、あくまで受注の手段、つまり「キャッシャー」という位置づけに過ぎないのが現状です。多くの総合通販企業同様、受注手段としてだけでなく、“Webで完結できるビジネスへのリプレース”が当初のミッションでした。

 しかし、入社後に感じたのは、カタログ通販というビジネスの完成度の高さです。長年の事業展開によって蓄積されているノウハウと、既存顧客層の分厚さは、これまで経験してきたEコマースにはない要素でした。また、業務全体を洗い直してみると、実はムダなプロセスがほとんどない。CRMがきちんと回っているのです。すでに最適化されているビジネスモデルなのに、無理やりEコマース化や効率化を進めては、これまでのお客様にリーチする機会を喪失する──生命線ともいえるハウスリスト全体の減少を招きかねません。そこで、単純なWeb(Eコマース)へのリプレースではなく、「Webを使って紙(カタログ)の短所を埋めていく」べきではないかと考えたのです。

Webでカタログの短所を埋める
第一弾サービスを開始

──カタログ通販とEコマースの違いについて、もう少し具体的に教えてください。

石川 わかりやすい例をあげると、情報発信に対するKPIである「リーチ率」があります。Eビジネスの主要手段であるメルマガと、カタログ通販におけるDM(郵送)では、同じリーチ率でもまったく意味合いが違います。メルマガは、確かにローコストですが、リーチして開封される率は高くても数%程度。その一方で、カタログやDMは直接、ポストに投函されますので、「手に取る」確率は限りなく100%に近い。さらに言うと、メールやWebと比較して、カタログの訴求力、そして保存性は比べモノにならないほど高いと感じています。メルマガを何度も読み返す消費者はほとんどいませんが、カタログはそうではありません。購買のモチベーションを作るパワーという点では、紙媒体の方が強いのではないでしょうか。

──紙媒体の短所を埋める具体的な手法は。

(聞き手・矢島 竜児)
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