実践編
第6回
関数の知識もグラフ作成のスキルも不要!
複雑なデータ分析を言葉で指示
今回は、ChatGPTをビジネスで活用する際に有効な「Advanced Data Analysis(ADA)」機能について解説する。従来、エクセルの関数を駆使したり、手作業でグラフ化していた一連の作業があたかも優秀なアシスタントに口頭で指示するようにプロンプトを入力するだけで、必要な分析結果を出力できるというものだ。VOC分析を実例に、実際の使い方も検証する。
米OpenAI社が提供する人口知能チャットボットサービス「ChatGPT」の進化が止まらない。今回は、文章による指示でデータ分析やデータの可視化が可能な「Advanced Data Analysis(旧名称:Code Interpreter、以下ADA)」機能について紹介したい。
ADA機能は、ChatPlus契約ユーザー(月額20ドルの有料プラン)に現在、Beta提供されており、CSVファイルなどを入力データとしてデータ分析から分析結果の表示まで一連の流れを行える機能だ。具体的な利用シーンをイメージしてもらうため、ここでは例として、ある家電製品の顧客の声を分析するユースケースで機能を活用してみよう。
ADA機能を利用するには、図1で示すように、設定からベータ機能を有効化し、モデル選択メニューより「Advanced Data Analysis」を選択した状態でChatGPTを使う必要がある。
設定が変更できたら、実際に分析を行うデータをCSVファイルなどで準備しよう。ここでは高性能冷蔵庫を想定した架空の顧客の声を作成して、ChatGPTへ入力してみる。分析結果の表現として各種グラフを表示する場合、現在のADA機能では日本語表示に対応していないため、それに対応させるために日本語フォントもダウンロードしておこう。
実際に利用するための準備の例を図2に示す。ここでは、Google Fontsで入手可能な「Noto Sans Japanese」(https://fonts.google.com/noto/specimen/Noto+Sans+JPからダウンロード可能)を利用するものとして解説を進める。
日本語で指示して実行
分析の労力を大幅に軽減
図3は、実際に入力するプロンプトの例と分析結果だ。
一般的に用いられる分析であればほとんどのことを実行でき、「世帯構成から世帯人数を読み取って分析して」「お客様の声を分析してポジティブ/ネガティブに分類して」といった日本語による指示を出すことも可能だ。こういった処理は、ChatGPTのベース技術である大規模言語モデル(LLM)の得意分野であり、従来であれば、手動での確認もしくは高度なデータ分析の実装(機械学習含む)を行うことが必要であったような分析を簡単に行うことができるわけだ。
生成AIを活用することで、従来はデータ分析を専門に行うメンバーがいなければ到底できなかったような高度なデータ分析を、あらゆるスタッフが行える可能性がある。例えば、問い合わせ履歴や契約情報、サービスの利用ログデータを分析することで、顧客のニーズや問題点を予測し、先回りしたサポートができるようになるかもしれない。
生成AIの活用は、目の前にある作業の効率化だけにとどまらず、将来、コールセンターの業務プロセス自体をどのように変えるかという視点で考え、活用を検討することが重要だ。
2024年01月20日 01時07分 公開
2024年01月20日 01時07分 更新
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