コラム
第14回
年中無休のコンタクトセンターにとっては「あるある」だが、今年も元旦が仕事始めになった。数日間の勤務を終え、ようやく休みになり、雑煮でも作ろうと思い立った。しかし、見ると、正月に備えて年末に買っておいたはずの食材が、すでに古い。それもそのはずで、七草粥の時期になっていたのである。やむなく、古くなった食材ごと鍋にして、一杯やることにした。
ご存じの通り、鍋には「鉄則」がある。まず、出汁が出るもの、煮えにくいものを入れる。その後、味を染ませたい具材、続いて硬くなりやすいものを。最後に食感を楽しむものを入れる。牛肉や豚肉なら後半に入れるが、魚や鶏肉なら最初に入れても柔らかいうえ、出汁が出る。この煮始めに、千六本にした大根を一緒に入れると味が良くなる、というのが小欄のやり方である。もちろん皆様それぞれ、こだわりはあるだろう。しかし、「鉄則」だけは変わらない。
煮えるのを待ちながら、ふとコンタクトセンターではどうだろうか、と考えた。
もちろん、お客さまには、それぞれのご用件、それぞれの話すペースがある。それはそれとして、鍋で言う「硬い具材」を先に話に入れようとするお客さまは、どうも強硬な話し方になり、かつ長話になりがちである。つまり「硬い具材」すなわち「強い主張」を訴えたいという気持ちが強いのだと思われる。もちろんコンタクトセンターとして「お客さまのご用件を丁寧に聞き取る」ことは大前提なのだが、ご意見という名の長広舌を毎回すべて聞き取ってしまっていては、どうも効率が悪い。
「柔らかな具材」を、こちらから入れてやればいい、という意見もある。やんわりと受けてあげれば、それでお客さまは落ち着くというのである。とくに上長からそう指導されることが多い。しかし、なかなかどうして、現場はそうはいかないのが現実だ。
穏やかに受けると、お客さまは、同意されたと感じて、更に多くを主張し始めたり、逆に聞き流されたと感じて反発したりする場合が多いようである。そもそも、やんわりと話して通じる相手なら、相手も最初からやんわりと話している。
鍋には締めがある。残った汁を雑炊にする人、うどんやラーメンを入れる人、それぞれだろうが、この点はコンタクトセンターではワザが必要だ。会話を締めようとすると、「終わらせられている」と感じて、また最初から「具材」を入れ直す人もいるからである。そういう人には、場の雰囲気を演出して、自然に終わってもらうのが良策だ。
結局のところ、「愛想良く、かつビジネスライクに」という基本に戻らなくてはならないようだ。コンタクトセンターは色々な応対手法の「寄せ鍋」のようなものである。クレーム抑制のためには、汁(=雰囲気)を濁さず、素材(=ご用件)に合わせて、「鉄則」を粛々と進めるほかないのである。
実は元旦の朝、最初の受電は「常連のクレーマー」からだった。今年一年、先が思いやられると思いつつ、極めて「ビジネスライクに」受けた。だが、巡りあわせなのか、翌日も、翌々日も、朝一番の受電は同じ人物からだった。それは数日経っても継ぎ足して食べている鍋の味を思わせた。