CRMマーケティングなど、カスタマーエンゲージメント事業を展開するゴンドラ(東京都千代田区、古江恵治代表取締役社長)は、顧客エンゲージメントの実態調査を実施した。
調査対象はカスタマーサクセス、CRM、CXデザイン業務経験者118名。近年、設立企業が増えているCXデザイン/カスタマーサクセス部門の設立年数や課題、活用ツールやタッチポイントなどを聞いている(注:グラフの数値は実数)。
部門の設立年数については、「1年未満」が5.9%、「3年未満」が23.7%と比較的運用年数が短い企業も多い一方で、「10年以上」も31.4%と、CRMやカスタマーサクセスへの投資が長期的な取り組みとして定着していることがわかる。
図1 CXデザイン/カスタマーサクセス部門の設立年数(クリックして拡大)
主な利用ツールに関しては「Salesforce」が55.1%を占めた。高いカスタマイズ性、営業/マーケティング/サポートの統合管理が可能である点が高く評価されているようだ。ゴンドラでは、「複数部門で一貫した顧客体験・サポートを提供しやすく、とくに大企業や複雑な顧客対応フローを構築している企業がこの点を重視している」と分析している。また、顧客サポートに特化したZendeskやリアルタイムの顧客対応に強みがあるIntercomといったツールが一定のシェアを持つことからも、これらの要素がエンゲージメント強化の要と捉えられていることがうかがえる。
図2 主な利用ツール(クリックして拡大)
主要チャネルは「メール」が最多の64.4%を占めた。ゴンドラでは「費用対効果が高く、個別対応やパーソナライズが比較的容易に実現できるから」と分析している。また、重要な意思決定を伴う場合は直接的なコミュニケーションを、即時的で視覚的なエンゲージメントにはSNSの活用を、といったように顧客ごとの状況に応じた対応が重要視されていることもうかがえる。
図3 主な利用チャネル(クリックして拡大)
部門の運営体制は、「専任チームが存在する」が66.9%を占めた。一方で、11.0%と少数だが、社内リソースやツール活用における専門知識の不足を外部サポートで補う企業もあるようだ。ゴンドラでは、「リソースや専門知識の不足が課題となっている可能性」を示唆している。
図4 部門の運営体制(クリックして拡大)
課題については、「顧客エンゲージメントの向上」が最多の54.2%を占めた。また、「データ管理の一貫性と正確性」は33.1%となっている。顧客データの一貫管理ができない場合、結果的にエンゲージメント向上の障壁となるため、一貫したデータ基盤を構築することが急務である。ゴンドラは「CRMツールの活用だけでなく、運用体制やデータ戦略を再評価する必要がある」と解説している。
図5 主な課題(クリックして拡大)
顧客エンゲージメント強化に最も効果的な取り組みについては、「パーソナライズされたコミュニケーション」が51.7%となった。次いで「顧客の声のフィードバックループの強化」が39.0%、「マルチチャネルの活用」が38.1%となっている。これらの取り組みを統合的に実施することで顧客満足度の向上と長期的な関係構築が期待される、
図6 顧客エンゲージメント強化に最も効果的な取り組み(クリックして拡大)
ゴンドラのシニアコンサルタントである藤原洋平氏は、「ツールを内製で運用し続けることで、データの一貫性やタッチポイントの最適化が不十分になり、結果として顧客エンゲージメントの向上が遅れるリスクもある。こうした状況を踏まえるとCRM運用を専門家に委託し、支援を受けることで、企業はCRMツールの最大限のパフォーマンスを発揮し、顧客エンゲージメントの向上やLTV(顧客生涯価値)の最大化を実現できると考えられる」とコメントしている。