コンタクトセンターで使える!ソーシャルメディア活用の手引き 第3回




アイキャッチ、共感、鮮度――
「読みたい」と思わせる3つのテクニック


ソーシャルメディア対応は、あらかじめ対応ポリシーを固め、目的達成を意識して取り組むべきだ。例えば、アクティブサポートを行うかどうかも必須検討項目のひとつ。サポート=支援と身構えず、お礼の一言から始めることも可能だ。うまく実践することで、顧客との関係構築だけではなく、マーケティングにも活かせるはずだ。

著者:オフィスバトン うねだ友希
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 顧客との対話を始める上で重要なのが「どのように対応するか」というポリシーを明確にすることだ。これは、ソーシャルメディアに限らず、コンタクトセンターの電話対応にも全く同じことが言える。敬語や話し方、名乗り(電話では名乗るがメールやソーシャルメディア、ネット上では名乗らない企業もある)から顧客へ約束する対応までの時間や対応レベルなどコンタクトセンターで取り決めをすることがそのままソーシャルメディアにも必要事項として当てはまる。

■長文/丁寧すぎるはNG!

 投稿の文章を書く上で、意識すべきポイントは、①アイキャッチな文章を冒頭に掲げる、②完成度よりも担当者の人柄が出るような文章を心がける、③すべてが「リアルタイム」であることを忘れない――の3つだ。

 文字数が多く書けるフェイスブックであっても、だらだらと長文を書いてしまうと「…続きを読む」というリンクでまとめられてしまい全文を一目で読むことはできない。面倒なクリックなしに読んでもらうために、どんなに長くても200文字には納めるべきだ。さらに、続きを読みたくなるような、まず目に止まる文章を書くことが大切だ。毎回、1枚の写真や短縮URLを使って短い文章でリズムよく製品紹介しているローソンの投稿を参考にするといいだろう。

 ローソンやイケアのアンナさんのように、キャラクターが設定されている場合はそのキャラクターらしさを全面に出すことはもちろんだが、設定していない場合でも担当者の「人となり」が垣間見られることで共感を呼び、人気が出るのはアスクルの例でおわかりだろう。

 ファンが思わず「いいね!」やコメントをしたくなるのは「共感」が重要なキーワードだ。企業ページがいいね集めに苦労するのは、今ひとつ親近感に欠ける文章が多いからではないかという懸念もある。炎上怖さに丁寧になりすぎるのもソーシャルメディアの良さを半減してしまっていると言える。

 また、投稿はなるべく新鮮な情報を提供するよう心がけ、競合他社の動きにも注目しよう。スマートフォンの普及によって、ソーシャルメディアもより一層加速された。さまざまな情報はリアルタイムで拡散され、留まる事を知らない。ネットの世界は24時間絶え間なく動いているため、機敏さも求められる。メディアも従来の対応スケジュールでは到底間に合わず、顧客サービスでさえ対応時間はどんどん短縮が求められているのだ。

 顧客から何らかの問合せがきたら、リアルタイムで答えていく。そんな企業が今後注目されていくのかも知れない。

■お礼の一言もアクティブサポート

 ソーシャルメディアとコンタクトセンターで大きく異なるのは、「アクティブサポート」の存在だ。対応ポリシーを決める上で、このアクティブサポートを行うのか大いに検討していただきたい。

 アクティブサポートはソーシャルメディア上に書き込まれた「本音の声」を能動的に検索しサポートするものである。電話のアウトバウンドに例えられるケースが稀にあるが、セールスや勧誘を行うのではなく、あくまでも“サポート”を能動的に行うものだ。現在では海外のみならず、日本国内でも多くの感動を呼ぶ事例が日々生まれている。

 先日、勉強会の仲間がある本の感想をツイッターに書き込んだところ、その日のうちに著者から御礼の返信があったと言って大層喜んでいた。著者の方と後日お会いする機会があった際、アクティブサポートの知見があったのか伺ってみたところ、驚くことに言葉さえも御存じなかったのだ。単純に自分の本のタイトルを検索するのが日課になっていて、ご自身も使っているツイッターでのコメントだったため思わず返信したそうだ。

 このように、顧客サポートに携わっているわけでもなく、アクティブサポートという言葉を知らなくても一歩を踏み出すことは可能なのだ。

 最初は返信しやすい御礼や感謝、お褒めコメントへのアクティブサポートから始め、慣れてきたら徐々にクレーム対応をしていくなど計画をもって取り組んでいただきたい。

 また、アクティブサポートは主にツイッターで語られることが多いが、フェイスブックでももちろん可能だ。フェイスブックはツイッターに比べてネガティブな呟きを含め本音のコメントが聞こえづらい点もあるが、顧客との対話という意味では同じように、しかもよりポライトな運用が期待できる。

■声を分析し販売・開発に役立てる

 アクティブサポートは、顧客に感動を提供するだけではなく、マーケティングにも活用できる。

 MROC(エムロック、マーケティング・リサーチ・オンライン・コミュニティ)というマーケティング調査手法があるが、これは新しいアクティブサポートを組み合わせることで、より一層の効果が期待できるのではないかと考えている。MROCは、企業に採用された幅広い年代、バックグラウンドの生活者が、依頼された製品などに対してオンライン上で感想やコメントしていくもの。コメントは、企業担当者が分析しクライアント企業に提出することで販売方法や製品開発などに役立てていく。この方法では、製品に対する批判的なコメントが拾えないが、アクティブサポートでそれを拾い、ある範囲にエムロックを組み合わせれば、最強のマーケティングツールとなるはずだ。

図 マーケティング調査手法「MROC」

(コンピューターテレフォニー2012年8月号掲載)

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2024年01月31日 18時11分 公開

2013年02月22日 14時13分 更新

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