コラム
第175回
今年のシルバーウィークは、長野県の小布施町まで観光に行きました。以前は、スキー帰りに表通りの菓子店に立ち寄り、名物の栗を使った菓子をよく買って帰っていましたが、町の観光は今回が初めてです。訪れてみて驚いたことは、表通りから少し入ったところに、葛飾北斎の作品を展示する「北斎館」をはじめとした観光施設と、美しい町並みが展開されていることです。町には古い建物と、建物の間を抜ける魅力的な小道が沢山あるのですが、私有地と思われる場所にも「ここから通り抜けができます」といった、ポジティブな表現の看板が多くみられ、美しい花が咲いた家の庭を通り抜けたりもできます。そして、その先にはガラス張りの菓子の製造工場があり、職人が栗のモンブランを手作りで器用に製造している工程を見ることができます。古民家を改造したレストランや喫茶店が点在し、町全体がアトラクション化されているので、1日過ごしていても飽きることがありません。
そんななか、一軒の人気菓子店の長い行列に並び入店を待っていると、アンケート用紙を持った人が、「アンケートに回答して欲しいと」と話しかけてきました。目的を確認すると、「町を観光客にとって魅力的な場所にするために、顧客の実際の声を集めている」とのことです。入店できるまで、まだ時間がかかりそうだったので、家内と一緒に回答することにしました。聞かれた内容は、居住地、訪問目的、宿泊先、滞在期間、観光予算や実際の消費金額など多岐にわたっており、町のさまざまな施設にフィードバックして改善の役に立てていることが想像できました。外国人の観光客も多く、北斎館をはじめとした観光施設では、外国語の案内や接客もスムーズに行われていることからも、インバウンド需要を戦略的に取り込んでいることが分かります。アンケートの最後には、この街を訪れて、「不便に感じたこと」「改善して欲しいと感じたこと」について時間をかけて具体的に質問をされました。顧客の感想はネガティブなものも含め、聞き逃すまいという積極的な姿勢が感じられます。小布施町の公式ホームページを見ると、このような観光動向調査を定期的に実施しているようです。調査には、町を訪れる来訪者の目的や属性、人数、滞在時間、消費行動を多面的に把握し、今後の観光戦略に生かすことを目的としており、来訪者の経済活動が1次、2次、3次産業にどのくらい波及しているかという効果を測定すると記載されています。