KBI(関西ビジネスインフォメーション)

今月のPOINTS!
■システム概要
大阪ガスのコンタクトセンター業務を担うKBIは、応対マニュアルとスクリプトをサイト・パブリスのクラウド型CMS「SITE PUBLIS」上に構築。お客さまセンター向けの「B-Square」、ガス機器販売その他窓口のグッドライフコール向けの「GLibrary」を運用し、複雑化する契約・案内業務の標準化を図っている。
■選び方のポイント
最大の要件は、Excelで運用していた分岐型スクリプトを、UIを大きく変えずにCMS上で編集・運用できること。多くのベンダーが対応困難と回答するなか、サイト・パブリスが唯一対応可能と回答。表形式フォーマットで複雑なスクリプトをCMS上に再現できる点を評価した。
■使い方のポイント
電話応対中はスクリプトだけを見れば必要な案内が完結し、応対後の処理ルールはマニュアルで確認する運用にした。重要事項説明やクロージングなど共通部分は、シェアブロック機能により1カ所の編集で全ページへ反映。スクリプトの分岐や判定を仕組み化することで、案件作成や受付時のミス削減につなげた。
KBI(関西ビジネスインフォメーション)が担う大阪ガスのコンタクトセンター業務は、ガスの既存顧客対応にとどまらない。ガス機器、電気、通信、IoT機器、暮らしのサービスなどが対応範囲だ。コンタクトセンター事業部 ナレッジマネジメントチーム マネジャーの曽谷悦代氏は、この業務範囲の広さが運営の難しさだと説明する。
とくにガスの受け付けをする総合窓口のお客さまセンターは幅広い知識が求められる。従来は一旦覚えるとスクリプトをほとんど見ずに応対できたが、取り扱いサービスが多様化してからは、他のサービスに関連するルールが複雑化しスクリプトなしでは応対が難しくなった。また、電気などを受け付けするグッドライフコールでは、電気だけでも10以上のプランがあり、加えてガス契約の有無、他社からの切り替えか新規かなどで説明の内容が変わるため、スクリプトなしでは到底応対ができない。
当初、マニュアル・スクリプトはExcelで運用していた。しかし、複雑化するサービスによる更新負荷は大きかった。大阪ガスでは休日にキャンペーンを開始することもあり、公開予約ができないため、休日の朝一に出勤して更新作業を行うこともあったという。さらにファイル容量が増大化しクラッシュしたり、共用フォルダーにアクセスが集中し業務時間中に編集できないケースも少なくなかった。
そこで同社は、マニュアル運用をCMSへ移行することを検討。現場の混乱や教育負荷を避けるため、選定で最も重視したのは、複雑な分岐スクリプトを従来のExcelと同じような見た目で実現でき、簡単に編集できることだ。サイト・パブリスと二人三脚で開発を進めた。

導入したCMS上には、お客さまセンター向けの「B-Square」と、ガス機器・住まいのサービス・電気を扱うグッドライフコール向けの「GLibrary」を構築した(図)。
スクリプトのフォーマットは、従来のExcelと見た目が大きく変わらないよう開発した。その結果、リプレース後の混乱を最小限にとどめることができた。
設計のポイントは、応対中に迷わせないことだ。曽谷氏は、「電話中はオペレータのストレスが大きく、あちこちの画面を見たくない」と説明する。そのため、応対中はスクリプトだけを見れば必要な情報が網羅され、応対後に処理ルールをマニュアルで確認する形にした。また、重要事項説明やオープニングなどの共通部分は「シェアブロック機能」で管理。1カ所を編集すれば、関連ページすべてに反映され、更新作業も効率化された。


B-Squareの導入効果として、同チーム チーフの太田美穂氏は「ミス件数58%削減」を挙げる。条件に応じた案内だけでなく、他部署への引継ぎ案件の書き方にも複雑なルールがあった。少しでも誤りがあると受け付けられないケースもあり、現場には正確な入力が強く求められる。そのため、必要情報の選択だけでメモを自動作成できるようにした。また、電気廃止は最短でいつ手配できるのかなどの判定を自動化し、ミスが大きく減った。太田氏は「ルールが複雑すぎて人の判断が難しかった部分をサポートできたことが大きい」と話す。
運用開始後は、ベテランの意識も変わった。リリース後もルールは増え続け、イレギュラー対応も多い。漏れなく最新ルールで応対するために、ベテランでもスクリプトやマニュアルを見るという意識が広がっている。
現場からのマニュアルへの改善要望は、GLibraryでは「ご意見箱」で収集。オペレータが要望を投稿したページのURLが自動取得され、ナレッジチームが翌営業日には必ずファーストレスポンスを行う。B-Squareでは、手上げ質問を記録する「もみじ」を使い、管理者が回答した暗黙知を吸い上げる。これにより、ナレッジの改善・追加もスピードアップした。
今後は、生成AIツール「CRALA」を活用し、対話ログから質問と回答を自動生成する取り組みや、VOCからマニュアルやFAQの改善点を抽出する取り組みを進める方針だ。複雑化した業務を人の経験だけに委ねず、ナレッジで支える。CMS導入は、応対平準化の基盤となっている。