先週のCS関連ニュースのなかから、興味・関心を惹いたものを独自にピックアップする「CS News Watch」。7回目の今回は、「AIエージェント化」を取り上げます。
AIエージェント導入の最大の課題である「データ連携」。コールセンターの導入システムにおける課題についても、最も多くの回答企業が課題として挙げている。
CRMやロジスティック、ERPなどの業務単位のみならず、電話、メール、チャットなどのチャネル間のリアルタイム連携すら実践している運営企業の方が少ない。さまざまなシステムをまたぐことで設定されたゴールまで自律的に稼働するAIエージェント化には、あまりにも大きすぎる課題と思われる。現状では、自動化できる範囲が少なすぎて、効率化にもカスタマーエクスペリエンス向上にも劇的な改善は期待できそうにない。
その流れを断ち切る動きがはじまりつつある。例えば、このニュースだ。
SCSK、Gemini Live APIと『FastSeries』とのMCP連携による高度AIエージェント開発に着手
Google Cloudが提供するマルチモーダル対応API「Gemini Live API」と、テクマトリックスが提供するコンタクトセンターソリューション『FastSeries』向けのMCP(Model Context Protocol)対応サーバーとを連携する仕組みで、「FastAnswerおよびFastHelpと迅速かつ安全にデータを連携。金融や公共をはじめ、厳格な環境下での安全なAIエージェント導入・活用を支援する」としている。
こうしたMCPを適用したソリューションは、今後さらに増えるだろう。今は、電話を受けているオペレータが手作業でさまざまなデータを呼び出し、手作業で入力している。つまり、オペレータがさまざまなデータベースをつなぐ「ハブ」として機能することで顧客対応が成立しているが、顧客対応をオペレータ並みのクオリティで自動化するには、MCPの活用は欠かせない。
また、これを応用することでオペレータの業務負荷は大きく軽減できる。熟練したオペレータと新人オペレータの大きな違いは、「画面操作」にもある。どのタイミングでどのアプリケーションを立ち上げ、どこを見ればいいのかーーこれは典型的な暗黙知であり、継承はかなり難しいとされてきた。マルチモーダル対応で顧客とのやり取りを聞き取って適切なアプリケーションが自動で立ち上がれば、その暗黙知を広く共有できる。
実際にこちらのニュースでは、それに近い使い方を想定。先行導入事例では新人の早期戦力化に成功している。
AIエージェントは、顧客対応の自動化のみならず、すべてのコールセンター業務を根底から変えるポテンシャルを秘めている。それだけに現場では抵抗勢力もまだ存在すると推察するが、あまりにも技術の進化が早いだけに、常に「どこまでできるのか」を見据えながらチャレンジする企業と、先行事例を追いかける企業では大きな差がつく可能性がこれまでのITソリューションより高い。
毎週のようにリリースされる生成AIの新機能。それらがもたらす新たな顧客体験/従業員体験を常に想像しつつ、次の一手をイメージするイマジネーション力が、センター長に必要なスキルとして追加されそうだ。