日本システム技術

今月のPOINTS!
■システム概要
健康保険組合向けの保険者業務支援システム「iBss」の導入支援と、同システムを活用した被扶養者資格に関するBPO業務を行う日本システム技術。繁忙期は月約3000件の問い合わせが発生。対応負荷を軽減するため、2025年度からソフトフロントジャパンのAIボイスボット「commubo」を導入し、問い合わせの自動化を進めた。
■選び方のポイント
必須要件であるBIZTELとの連携に加え、シナリオ編集を自社で行える柔軟性、短期間でシナリオの改善が行えるスピード感、操作性の高いUIを評価。それまで利用した他社製品は、ベンダー企業による設定だったため、運用の内製化を重視してcommuboを選定した。
■使い方のポイント
「ログインできない」など、全健康保険組合に共通する定型的な質問をcommuboに集約、個別性が高い提出書類や審査基準の質問はオペレータへ転送する“2段構え”を採用。問い合わせ内容の月次分析により、改善点を迅速にシナリオへ反映させ解決率の向上を実現している。
日本システム技術(JAST)は、健康保険組合向けの保険者業務支援システム「iBss(アイビス)」の導入支援と、同システムを活用した被扶養者資格に関するBPO業務を行っている。
受託する組合数は約70。年に1回実施する被扶養者資格調査について、組合に加入する企業の社員がオンラインで申告資料を提出し、その内容を審査している。iBssになったことで、書類はパソコンなどからアップロードが可能になった。その一方で、「ログインできない」「パスワードを忘れた」といった問い合わせが発生していた。
ヘルスケアイノベーション事業部 サービスセンター センター長 澤田和宏氏は、「調査書類が発行される6月以降に調査数が急増。それに伴い、繁忙期にあたる8〜11月は問い合わせが月間3000件に達することもあります」と説明する。
この期間、同センターは審査業務と並行して電話対応を行う。そのため、正社員10名と派遣スタッフ20名、そこに外部委託先2社が加わった最大約50名が対応にあたるが、それでも問い合わせの負荷は大きかった。中でも、「組合ごとに提出書類が異なるため、対応内容も変わります。その部分はオペレータが個別に対応しますが、効率化の余地はあると考えました」(同センターBPOサービス課 主任 児矢野 博氏)。そこで2024年度、ボイスボットを導入し、問い合わせの自動化を始めた。
1年ほど利用したが、シナリオやFAQの設定はベンダー企業に依頼する必要があり、改善に時間がかかった。同課 主事 野間美景氏は、「被扶養者資格調査の実施期間は数カ月と短いです。改善が遅れると、その年の調査に間に合いません。VOC(顧客の声)と現場の知見を即時改善に反映できる体制の構築が必要でした」と説明する。
そこで2025年度、リプレイスのために複数のボイスボット製品の比較を行い、AIボイスボット「commubo」(ソフトフロントジャパン)の導入を決めた。選定理由は、既存のクラウド型CTI/コールセンターシステム『BIZTEL』(リンク)と連携できることや、シナリオ編集の柔軟性、短期間でシナリオの改善が行えるスピード感、UIの扱いやすさなどを挙げる。

システム導入の準備には、約3カ月をかけた。ソフトフロントジャパンが基本動線を設計し、JASTが設定方法や変更時の影響範囲を理解しながら、現場の運用に合わせたシナリオを構築した。
運用については、問い合わせ内容を「全組合で共通する質問」と「組合ごとに異なる質問」に分類。また、発信先番号(組合ごとの電話番号)でガイダンス内容を変えることで、1つのシナリオで複数組合の業務に対応できるようにした(図)。

具体的には、ログインやパスワードに関する典型的な問い合わせはcommuboで対応。必要書類など個別の判断が必要な内容は、オペレータへ転送する仕組みを整えた。commuboで解決しきれなかった場合に転送する“2段階振り分け”も設計し、効果を最大化した。
その結果、全問い合わせの約35%をcommuboで応対できるようになり、人的対応の負荷が軽減した。
さらに効率化を高めるべく、月1回のシナリオ見直しも継続している。その内容としては、「通話履歴をCSVで抽出し、commuboが認識できなかったエラー会話を分析。共通するキーワードを抽出し、該当するシナリオに反映することで、エラー率を着実に低減させ、解決率の向上につなげています」(同課 副主任 杉本嵩弥氏)。こうした改善を重ねることで認識精度は向上し、加入者による自己解決率も高まっているという。
今後は、FAQを充実させつつ、組合ごとの差異を反映したシナリオの作成を強化する計画だ。また、同課の代表電話へのcommuboの活用も見込むと同時に、生成AIによる要約機能を問い合わせ内容の意図理解や自動分類に広げるなども検討している。
さらに、顧客満足度向上と自動化を推進するために、「チャットボットの導入など、加入者が自ら解決できる仕組みの構築をさらに強化していきたいです」と澤田氏は展望する。