問い合わせ窓口格付け調査──証券業界
証券業界のサポート窓口は、ここ数年、全業界トップクラスの品質を維持している。とくにWebサポートは、セルフヘルプの選択肢が多く情報も多彩で利用しやすいと好評だ。有人窓口も、親身な対応が安心感を与え、信頼関係の構築に一役買っている。ただし、放棄率の評価は昨年から下がっており、3ツ星企業も11社から9社に減少している。
HDI-Japanは2025年7月、証券業界の公開格付け調査を行った。
今回は「口座開設方法や取扱商品・サービスなど、取引を検討する際の問い合わせ」という前提で実施。調査にあたっては、専門審査員、一般審査員のべ108人が証券各社のWebページを確認し、またそれぞれの窓口に問い合わせた。そのうえで、Webサポート5項目を評価。さらに、問い合わせ窓口のパフォーマンス5項目、クオリティ5項目の評価を行っている。
Webサポートは、3ツ星11社、2ツ星1社という結果で、1ツ星、星なしは該当がなかった。証券業界は、2024年全業界平均と比べてすべての項目が高く、とくに『複数のセルフヘルプ選択肢』が高評価となっている。
Webサポートで高評価のところは、顧客が理解を深められる工夫がある。情報が見やすく整理されており、商品のメリット/デメリットも分かりやすく解説するなど利用しやすい。セルフヘルプ選択肢を活用することで、プラスアルファの情報や知識も得られ運用への関心も増す。セキュリティ対策も明確で、顧客の金融リテラシーを高める案内は安心感があり、企業への信頼につながっている。
一方、評価が伸び悩んだところは、サービスや商品の詳しい情報が不足気味である。
問い合わせ対応は、3ツ星9社、2ツ星3社という結果で、1ツ星、星なしは該当がなかった。証券業界は、2024年全業界平均と比べて『放棄率』以外のすべての項目が高く、とくに『困難な対応』が高評価となっている。
クオリティで高評価のところは、礼儀正しく温かみがあり親身に対応しているので安心感を与えている。早い段階で関係構築を図り、顧客に合わせて分かりやすく説明し、プロフェッショナルらしい柔軟性が際立っている。顧客一人ひとりに真摯に向き合い感情を受け止めてサポートしているので、自然と信頼関係を築けている。一方、評価が伸び悩んだところは、担当者により一方的な進め方になったり、消極的な対応にとどまったりと、対応にバラつきが見られる。
パフォーマンスで高評価のところは、問い合わせチャネルを選択でき担当者にもつながりやすい。会話のテンポがよく、質問には即答しスムーズに進む。質問の意図を的確に捉えているので、説明が的を射ており顧客の時間を有効活用している。さらに、追加質問を積極的に引き出し丁寧に説明しているので、顧客は一度の問い合わせで解決でき満足感を得ている。一方、低評価のところは、曜日や時間帯によって担当者につながりにくく問い合わせを諦めたくなる。
証券業界の有人窓口は総じて高評価だが、3ツ星企業は昨年の11社から9社に減少している。好況で呼量が増え、放棄率が悪化したことが原因として考えられる。

