実践編
第23回
団体・ツアーから「個人旅行」の時代へ
顧客獲得のための“シニアフレンドリー”のあり方
シニア世代にとって重要な娯楽は「旅行」である。かつては、パック・団体旅行の利用者が多い傾向にあったが、コロナ禍の少人数旅行の増加を経て、個人旅行の利用者が増えている。本稿では、年々需要が増している「シニアの個人旅行」にフォーカスし、ホテル業界のWebサイトをシニアフレンドリーな観点で考察、改善点を挙げていく。
インターネット利用率の向上により個人旅行が広がり、2018年からはパック・団体旅行の割合は15%以下となり、コロナ禍の2021年には5%を切る事態にもなった。現在、個人旅行は88%を占めている(出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」)。最近ではシニアの少人数旅行の希望者も増え、個人手配の割合が増加している。
多くのホテルチェーンが自社サイトで宿泊予約を受け付けているが、その中でも日本におけるWebサイトランキング上位のホテルのWebサイトを検証(出典:SimilarWebのアクセスランキング2023年10月〜12月合計)。シニア層に申込みしやすいサイト導線となっているかなど、4つのポイントで解説する。
重要なのは検索窓の最適化
シニアは、Webサイトに訪れる際に明確な目的を持って訪れる傾向が強い。そのため、予約をする直前の行動としての「検索窓」は積極的に活用し、情報提供することが必要だ。この検索窓はトップページのヘッダー付近に設置されているケースが多く見られたが、非常にわかりやすく配置されており、シニアが迷わず入力できる。検索窓で入力できる項目についても重要だ。シニア層にとって、入力・検索という行為はデジタル世代と比較すると非常に億劫な作業で、ハードルが高い。そのため、なるべく検索回数を減らしたい・エラーを出したくないという気持ちが強い。そのことからも、入力する項目はより具体的に、一度に全部の条件を入力する傾向がある。検索窓ではより細かい条件項目が打ち込めるほうが便利だ。
アパホテルの検索窓では、日付、泊数・日帰り、部屋数、大人の人数、子供の人数、禁煙・喫煙の別、朝食の有無、大浴場の希望の有無など、多くの記入項目が用意されていた。東横インでは「詳細条件」というさらに詳しい検索窓が用意されていた。わかりやすさを意識しながらも、一度で希望の検索結果にたどり着けるような項目を整理する必要があると言える。