2019年7月号 <わたちゃんのかすたま〜えくすぺりえんす>

わたちゃん

「3つのロイヤルティ」をマネジメントしよう

ISラボ 代表 渡部弘毅

 ポケモンGOの「ほしのすな」ポイントを貯めるのはワクワクして好きだけど、小売店の会員カードのポイントを貯めることにはあまりモチベーションが沸かない、わたちゃんです。

 ロイヤルティというワードは近年、頻繁に使われるようになりました。企業の方とロイヤルティの議論をすると、視点が大きく3つあることに気づきます。

 まず最初が、「経済ロイヤルティ」です。お客様がどれだけ経済的に自社に対して貢献していただいているか、という視点です。平たく言うと、「どれくらい自社商品を購入していただいているか」が基準となります。経済ロイヤルティは、企業収益に直結している分かりやすい定義ではありますが、極めて企業目線です。自社にとってありがたいお客様こそがロイヤルティが高いお客様という視点は、顧客目線ではありません。この視点で話される方は、現場から離れているマネジメント上層部の方に多いように思えます。

 次が、「行動ロイヤルティ」です。経済ロイヤルティがお客様の購買金額に注目することに対して、行動ロイヤルティはお客様の企業に対するアクションに注目します。具体的には来店頻度や回数、自社のホームページへのアクセス頻度や滞留時間、イベントへの参加回数、自社商品・サービスの利用頻度などが基準となります。マーケティング担当の方は、この定義でロイヤルティを測っていることが多いように思えます。しかし、本視点も経済ロイヤルティほどではありませんが、企業目線での考えといえます。

 小売業の世界では、RFM分析という手法で顧客ロイヤルティを測ることが通常、行われています。RとはRecencyの略で、直近いつ来店したか、FはFrequencyの略で、一定期間で何回来店したか、そしてMはMonetaryの略で、一定期間での購入金額です。このRFM分析をロイヤルティ定義に当てはめると、RとFは行動ロイヤルティ、Mは経済ロイヤルティの位置づけになり、いずれも企業目線でのロイヤルティの定義です。

 では、顧客目線のロイヤルティの定義はどういうものでしょうか。それが、「心理ロイヤルティ」です。お客様の企業に対する感情を指標にしたものです。お客様が企業あるいは企業の商品とずっと付き合いたい、使い続けたい、買い続けたい、推奨したい気持ちであり、企業や商品に対する「愛着度合い」で判断します。そしてロイヤルティマネジメントでは、この心理ロイヤルティが最も重要になり、他の2つのロイヤルティとの関係性を理解しておくことが重要です。

 小売り会員カードのポイントを貯めることによる行動/経済ロイヤルティの域を超えた、心理ロイヤルティの向上までつながる施策があるカードならば、使うモチベーションが上がるんですが、今のところ見当たりませんね。

図 3つのロイヤルティ

図 3つのロイヤルティ

2024年01月31日 18時11分 公開

2019年06月20日 00時00分 更新

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